2021 Fiscal Year Research-status Report
低活動膀胱に対する低出力衝撃波およびPDE5阻害薬を用いた新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K16729
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 琢磨 東北大学, 大学病院, 助教 (80804856)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 低活動膀胱 / PDEⅤ阻害薬 / 低出力衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
排尿筋低活動(detrusor underactivity: DU)/低活動膀胱(underactive bladder: UAB)は排尿筋収縮力/排尿筋収縮時間の減少により尿排泄の効率が低下する膀胱機能障害であり、下部尿路症状(lower urinary tract symptoms: LUTS)を有する多くの症例の病態に関与することが明らかとなっている。現在、DU/UABに対して有効性が証明された治療法は存在せず、低侵襲で効果の高い新規治療法の開発が望まれている。DU/UABの原因は多岐にわたることが知られているが、近年、膀胱の慢性的な血流障害とDU/UABの関連が報告されている。本研究では慢性的な血流障害に起因するDU/UABに着目し、PDE5阻害薬と低出力衝撃波照射の併用による新規治療法の開発を目的としている。PDE5阻害薬と低出力衝撃波照射はどちらも慢性的な血流障害に対して血流改善、抗炎症作用、酸化ストレスの軽減、血管内皮細胞の機能改善などの生物学的作用を持つことが知られている。本研究では、腸骨動脈(総腸骨および外腸骨動脈)の内腔を機械的に擦過することにより、腸骨動脈の動脈硬化が惹起されるラット動物モデルを用いる。この動物モデルは動脈擦過回数および擦過から経過した時間と動脈硬化および骨盤の血流障害の程度が相関すること知られている。本年度はまず、様々な条件(動脈の擦過回数および擦過からの期間)でどの程度の動脈硬化および骨盤の血流障害が惹起されるか、またその際の排尿/蓄尿に関するパラメーターについての検討を行っており、現在のその結果を解析している最中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、腸骨動脈内腔の擦過回数(惹起される動脈硬化の重症度と相関)と動脈擦過からの期間(血流障害をきたす期間に相当)について様々な条件を設定し、惹起される動脈硬化(腸骨動脈内腔の狭小化)および血流障害(およびそれによって引き起こされる排尿、蓄尿障害)について検討を行っている。現状においては、DU/UABを惹起し、低出力衝撃波およびPDE5阻害薬による治療効果の評価が可能となる実験モデルの確立に至っておらず、さらなる実験を行った後に適切な実験モデルが作製可能となる条件を決定し、治療実験へ移行する予定となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述の進捗状況とほぼ同様の内容となるが、まずは実験モデルの作製が急務であり、 腸骨動脈内腔の擦過回数と動脈擦過からの期間の最適化およびそれによって引き起こされる動脈硬化、血流障害、排尿/蓄尿障害に関する十分なデーターを得ることが必要である。そののちに治療実験を開始し、最適な治療介入のプロトコール作製を目指す。
|
Causes of Carryover |
本年度においては実験モデルの作製を行っているが、治療効果の評価が可能となる適切なモデルの作製がまだできておらず、治療実験にまで至っていない。そのため、物品費が当初推定された金額に至らず、次年度使用額が発生した。次年度は可及的速やかに実験モデルを作製するとともに、治療実験を開始することを目標としている。
|