2021 Fiscal Year Research-status Report
二次元高速液体クロマトグラフィーシステムを用いたD-アミノ酸測定による腎機能推定
Project/Area Number |
21K16730
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 正隆 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (00808925)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | D-アミノ酸 / D-セリン / D-セリンクリアランス / 腎機能 / 腎移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究背景】現在腎機能は血清クレアチニン(Cr)値からの推定値(eGFR)により評価されている。しかしeGFRは腎機能が良好なほど実測値との乖離が生じることが知られている。そのため正確な腎機能評価にはイヌリンクリアランス試験が用いられるが、その検査方法は非常に煩雑である 生体中のアミノ酸はほぼL-アミノ酸として存在すると考えられていたが、近年鏡像異性体であるD-アミノ酸が微量ながらも存在することが判明した。我々が専用に開発した二次元高速液体クロマトグラフィーシステムにより、D-アミノ酸を高感度に検出することが可能となった。本研究では生体腎移植患者のD-アミノ酸と、イヌリンクリアランスを用いた実測腎機能との相関について解析を行い、D-アミノ酸により腎機能を推定し得るかを検討した。 【研究方法】生体腎移植ドナーとレシピエントを対象に、イヌリンクリアランス測定による糸球体ろ過量評価時に、二次元高速液体クロマトグラフィーシステムを用いて血漿中および尿中のD-アミノ酸を測定した。各種D-アミノ酸とイヌリンクリアランスとの相関について解析を行った。 【研究成果】生体腎移植ドナーとレシピエントの血漿中のD-セリン値とイヌリンクリアランス値との間に強い相関関係を認めた。またD-セリンクリアランスは強く糸球体ろ過量と相関し、かつ従来の腎機能マーカーであるクレアチニンのクリアランスに比して偏りが小さかった。このとから、D-セリンクリアランスを用いると、糸球体ろ過量を偏ることなく正確に評価できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度研究計画はおおむね検討できた。具体的な研究成果は研究概要に記した通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
D-セリンクリアランスと従来の腎機能の指標を組み合わせた予測式を作成し、簡便で偏りの少ない、正確な腎機能の評価の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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