2021 Fiscal Year Research-status Report
外尿道括約筋におけるdecorinの機能解析と治療標的としての意義
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21K16742
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
篠原 麻由香 大分大学, 医学部, 助教 (30774666)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 外尿道括約筋 / 尿失禁 / デコリン / 細胞外マトリクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト外尿道括約筋は横紋筋であるが、発生時には平滑筋であり、他の横紋筋とは性質が異なる可能性がある。ヒト外尿道括約筋と肛門挙筋のプロテオーム解析では38種の蛋白が外尿道括約筋に特異的に発現していることを確認しており、その一つがdecorinであった。 2021年度は患者さんより同意を得た膀胱全摘症例において、術中外尿道括約筋を含んだ組織を採取した。同組織ではdecorinは免疫染色で間質に多く発現していた。 すでに確立した男性の不死化ヒト外尿道括約筋細胞と錐体筋細胞のDNAアレイ解析においても、錐体筋細胞と比較して有意にdecorinの発現が高かった。 次に男性の不死化ヒト外尿道括約筋細胞株において、増殖分化におけるdecorinの発現を確認した。mRNAレベルではdecorinは筋分化時よりも増殖時に発現が高くみられる傾向があった。 本実験で細胞、組織での研究を行うにあたり、再現性や個体差、性差に基づいたデータを得たいと考えている。しかし、尿禁制が不要な膀胱全摘症例数は年間多くなく、現在少ない数ではあるが複数の個体から採取した外尿道括約筋をもとにそれぞれ長寿化を行っている。長寿化の方法も検討中であり、hTERTのみを遺伝子導入してみて、増殖分化に耐えうる細胞が得られるか確認中である。 今後は、decorinを過剰発現させることで細胞増殖、分化にどのような影響がでるかを確認いたいと考えており、現在予備実験を行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個体差、性差に注目して研究を進めたいが、該当患者が少なく、初代培養細胞の採取が遅れている。初代培養時に括約筋細胞の陽性率はとても低く(線維芽細胞が多い)、培養細胞の長寿化とFACsによる分離純化に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
長寿化ヒト外尿道括約筋細胞を用いて、decorinを過剰発現、ノックアウトさせ、decorinの筋増殖・分化への影響を調べる。また、加齢に伴う慢性炎症の関連を検討するために、前述の研究にさらに低用量のサイトカインを添加し、decorin発現と筋細胞の増殖・分化の程度の変化を調べる。
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Causes of Carryover |
昨年度もCovid-19感染が拡大しており、学会発表や学会での勉強に当てる旅費額が予定よりも少なかった。次年度以降の学会発表にむけて費やす予定である。
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