2023 Fiscal Year Research-status Report
外尿道括約筋におけるdecorinの機能解析と治療標的としての意義
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21K16742
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
篠原 麻由香 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30774666)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | decorin / 外尿道括約筋 / 増殖 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
不死化ヒト外尿道括約筋細胞(US2KD)にリポフェクション法にてdecorinを過剰発現させた細胞株(US2KD/DCN)を使用し、昨年に引き続き筋増殖・分化についてWTとの比較を行った。qRT-PCR、WB法ともに、WTと比較してUS2KD/DCNの方が分化に伴ってdecorinの発現が多い傾向にあった。qRT-PCRではWTと比較してUS2KD/DCNの方が分化後のMHCⅠの発現が有意に増加していたが、MHCⅡではWTの方が発現が有意に増加していた。WB法では両者の分化後のMHCの発現に大きな差はみられなかった。次に分化初期に発現するmyogeninの発現を確認した。qRT-PCRではUS2KD/DCNにおいてmyogeninの発現が分化2日目に急激に増加していた。 次にUS2KDにDCNsiRNAをトランスフェクションしDCNノックダウンUS2KD細胞株(US2KDsiDCN)を作成した。Growth testではUS2KDsiDCNはWTと比較し増殖が抑制されていた。WTとUS2KDsiDCNをそれぞれ培地に播種し、培養2日目に分化誘導培地に変更して培養し、両者の筋分化に関わる実験を行った。RT-PCR法ではUS2KDsiDCNはWTと比較してMyosin Heavy Chain(MHC)Ⅰ、Ⅱの発現が有意に減少しており、myogeninもUS2KDsiDCNの方が有意に発現が減少していた。 また、複数の個体から採取したヒト外尿道括約筋をもとにhTERTのみを遺伝子導入し長寿化したヒト外尿括約筋初代培養細胞を獲得している。初代ヒト外尿道括約筋細胞株として筋増殖分化に使用できることを確認し、現在decorinの過剰発現株を作成しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験にかける時間が十分とれず、実験計画にやや遅れが生じている。 また、女性の外尿道括約筋組織検体がなかなかないため性差に注目した実験に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
不死化ヒト外尿道括約筋細胞(US2KD)より前年度までに確立できたヒト外尿道括約筋decorin過剰発現細胞株(US2KD/DCN)、およびdecorinノックダウン株(US2KDsiDCN)において、筋増殖・分化について抑制および促進に作用している因子の特定およびシグナル伝達について引き続き検証する。また、hTERTのみを導入した長寿化ヒト外尿道括約筋細胞においても同様の検証を行い、細胞株としての意義、また性差における外尿道括約筋の違いについても検証を行う。
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Causes of Carryover |
実験計画の遅れにより、国内および国際学会での発表があまり行えなかったため。次年度は実験に使用する器具・抗体等、また学会発表や論文作成に使用する。
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