2022 Fiscal Year Annual Research Report
β3アドレナリン受容体作動薬のcarry-over effectの研究
Project/Area Number |
21K16743
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
京田 有樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90718024)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 過活動膀胱 / β3アドレナリン受容体作動薬 / 抗コリン薬 / 腸骨動脈内皮障害 / 高血圧自然発症ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、頻尿モデルとして腸骨動脈内皮障害(arterial endothelial injury, AI)を用いているが、非常に難易度の高いモデルで、病理学的に内皮の肥厚が得られていても、頻尿に至らないラットが存在した。 このため、まずは排尿記録装置により頻尿となっていることを確認し膀胱内圧測定を行うこととした。AI作成の難易度と相まって、100体以上のラットで失敗があった。 AIラットでは手術8週間後で、非手術ラットと比較して機能的膀胱容量の低下すなわち頻尿となることが確認された。しかしながら、このAIラットに薬剤を投与しないコントロール群、β3アドレナリン受容体作動薬であるミラベグロン投与群、抗コリン薬であるソリフェナシン投与群で比較したが、排尿記録装置で評価するも、投与8週間後でいずれの薬剤投与によっても頻尿改善が見られず、休薬後も頻尿については各群で差はみられなかった。膀胱内圧測定によっても、各薬剤投与群での変化はみられなかった。原因として、AIに対するミラベグロンの頻尿予防効果は示されているものの完成されたAIには効果がない、失敗したモデルが含まれていた、長期間の経過で過活動から低活動へ移行していった、などが考えられた。 AIラットは不適当と考えられ、生来の頻尿モデルである高血圧自然発症ラット(spontaneously hypertensive rat, SHR)を用いて検討することとした。こちらも同様に排尿モニタリングと膀胱内測定で評価を行った。しかしながら、このSHRに関しても各薬剤投与により頻尿の改善を得ることができず、休薬後も排尿回数や機能的膀胱容量に変化はみられなかった。 残念ながら、今回用いた2つの頻尿モデルでは、現時点で研究目的を証明することはかなわなかった。
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