2021 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌における免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を予測するバイオマーカー探索
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21K16750
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
嘉島 相輝 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (50842952)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 免疫チェックポイント阻害薬 / バイオマーカー / PD-1 / PD-L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
転移性腎細胞癌に対して当院で抗PD-1抗体(Nivolumab)治療を受けた患者50例について、チェックポイント阻害薬治療開始前と比較した治療開始後のCT画像検査で腫瘍体積変化率を継時的に解析し、30%以上の腫瘍縮小を認めた奏功群と、30%以上の腫瘍増大を認めた非奏功群に分類した結果、両群はそれぞれ11例ずつであった。Stable disease 28例は本研究解析の対象外とした。両群の患者特性(年齢、性別、Performance Status、病理学的因子、ステージ、転移先臓器、転移個数、末梢血臨床検査データ等)を比較した結果、臨床上得られるデータからはチェックポイント阻害薬治療奏功と相関する因子は同定されなかった。 そこで、奏功群・非奏功群について、チェックポイント阻害薬治療前から治療開始後にかけて継時的に採取保存した末梢血単核球細胞(治療前、治療開始後2週目、4週目、8週目)をflow cytometryを用いて解析し、結果を両群で比較して有意に差のある細胞群や分子の同定を試みた。解析対象細胞はCD8陽性キラーT細胞、CD4陽性ヘルパーT細胞、NK細胞、制御性T細胞、B細胞等とし、解析対象分子は、各種チェックポイント分子、増殖および活性化マーカー、ケモカインレセプター、転写因子等とした。現在、22症例の全てのflow cytometry測定を終え、統計学的解析を行っている。 また、両群において同様のタイミングで収集保存した末梢血血清検体について、LuminexによるMultiplex cytokine/chemokine Assaysを行い、両群間で差のある液性因子の同定を試みた。結果として、特定の測定ポイントにおいて、複数のeffector側の因子およびtarget側の因子に有意差を認めた。現在、これらの因子についてbiologyの検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画上、本年は臨床情報解析およびflow cytometryを行う予定であったが、その両方について予定通り進捗した。更に、末梢血血清検体の解析に関しては次年度に計画していたが、研究が予想以上に順調に進捗したため、本年にこれを実施して複数の因子に有意差を認めた。以上より本研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、奏功群・非奏功群の両群間で末梢血単核球細胞解析・血清タンパク解析で差のあった因子を統合して、チェックポイント阻害薬治療効果に相関のある細胞群および分子を最終的に絞り込む。こうして同定した細胞群および分子マーカーに対して、チェックポイント阻害薬治療開始前の腫瘍ホルマリン固定パラフィンブロックを用いたtissue microarrayを行うことで、同定した末梢血マーカーが腫瘍局所の免疫環境の一部を反映しているかどうかについてのvalidationを行う。 以上の統合解析で同定した治療効果予測バイオマーカーについて、シンジェニックマウスモデルでの機能解析実験を予定する。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画に従って経費を使用したが、一部の解析を行う為の試薬は為替によって金額が変動するため、当初計上していた予算より安く購入されることとなり次年度使用額が生じる要因となった。また、一部の解析を行う為の試薬について期間限定割引が実施されたため、当初計上していた予算より安く購入されることとなり次年度使用額が生じる要因となった。
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