2021 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞由来エクソソームに着目した骨転移進展メカニズムの解明とバイオマーカー探索
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21K16758
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
占部 文彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90840067)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞外小胞顆粒 / 前立腺癌 / 骨転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの骨転移は全てのがん患者において起こり得るもので、療養生活の質を大きく低下させる。転移先の骨組織においてがん細胞は周囲の細胞を利用しながら生存する必要があるが、その詳細な分子機構は解明されていない。研究代表者はこれまでに前立腺癌由来のエクソソーム膜上蛋白質であるCUB domain-containing protein1(CDCP1)が、破骨細胞の分化を誘導する責任分子であることを同定した。本研究は、CDCP1陽性エクソソームによる骨環境形成の分子基盤を解析し、新たな前立腺癌の骨転移治療法の開発を目指し研究を行っている。2021年度は研究計画に沿って、以下の検討を行った。 ①エクソソーム上に存在するCDCP1の破骨細胞分化に与える影響:臨床検体において骨転移を有する前立腺癌患者由来のエクソソーム上に発現するCDCPはcleavedされているものであった。そのため、cleaved CDCP1の骨転移に及ぼす生理的機能を評価した。まずfull length CDCP1およびcleaved CDCPを強制発現させたHEK293細胞を樹立し、同細胞からエクソソームを抽出した。いくつかのクローンを樹立し、検討を行ったが、cleaved CDCP1を発現させたHEK細胞由来のエクソソーム上にcleaved CDCP1を発現させることは困難であった。そのため、bulk細胞を用いて同様の検討を行ったが、cleaved CDCP1のエクソソーム上での発現は困難であった。今回の検討からは、cleaved CDCP1の破骨細胞の分化に与える影響を評価できなかった。今後はエクソソーム上に存在するfull length CDCP1による破骨細胞の分化に与える影響を評価していく予定である。 ②臨床検体を用いた検討:当院に通院している骨転移を有する前立腺癌患者5例および骨転移を有しない未治療前立腺癌患者10例より採血を行い血漿分離を行った。今後は症例数を集積し、CDCP1の発現を評価していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウイルスの影響もあり、入院や外来通院などの規制により、経時的な検体採取が困難であったこと、研究代表者の勤務に制限がかかることも多く、研究の進捗が予定通りに進まないこともあった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの影響もあり、研究の進捗が予定通り進まないこともあったが、来年度は、引き続きタイミングを見計らって検体の収集を行うとともに、解析を進め、研究計画書に沿った研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度症例数が減った分、解析を次年度に繰り越した。
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