2022 Fiscal Year Research-status Report
単一T細胞トランスクリプトーム解析による妊娠高血圧腎症治療のバイオマーカー探索
Project/Area Number |
21K16764
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
津田 さやか 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60839075)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / CD4陽性T細胞 / 妊娠高血圧腎症 / T細胞受容体 / トランスクリプトーム解析 / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常妊娠初期(n=4)、正常妊娠後期(n=3)、妊娠高血圧腎症(PE)(n=3)の子宮内膜リンパ球、正常妊娠後期(n=1)の末梢血リンパ球からCD4陽性細胞をセルソーターで分離し、BD Rhapsody single cell analysis systemを用いて単一細胞mRNA+T細胞受容体(TCR)を施行した。発現変動のある遺伝子をもとに、クラスタリング解析を施行したところ、12種類のconventional CD4陽性細胞(Tconv)分画(ナイーブ、メモリー、活性化、PD-1+抑制型)と、FoxP3+制御性T細胞(Treg)の計13の分画から成るヘテロな集団であることが判明した。PD-1陽性抑制型、活性化型、Treg分画では細胞のクローン化率が高く抗原特異的クローンを含む群であることが分かった。CD4+Tconvはメモリー型・活性化型・PD-1+抑制型クラスター間にクローン重複があり、局所での抗原刺激を受け分化していることが示唆された。一方、Treg分画で増加しているクローンは他の分画とほぼ重複せず、Tconvとは異なる抗原を認識しており、誘導経路も異なると考えられた。興味深いことに、PEでは、Treg分画のクローナリティが高い細胞にRORC、IL18といったproinflammatoryな形質の獲得を示唆するmRNAの発現が増加しているものが存在した。また、PEのTreg分画でSTAT1の発現が亢進していた。T細胞でのSTAT1のoverexpressionは自己免疫疾患発症のリスク,病態関連分子であることが報告されている。STAT1-JAK経路の阻害は免疫学的治療のターゲットとなりうる。PEにおいてもTregにおけるSTAT-1強発現が病態関連分子である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ⅰ. 正常妊娠とPE症例で、抗原特異的Tregの機能分子発現を比較検討し、免疫学的治療の標的となる病態関連分子を明らかにする。(2021-2022年度) PEでは抗原特異的Tregがproinflammatoryな形質に傾斜していることを示唆する所見が得られた。また、自己免疫疾患における病態関連分子としての既報があるSTAT1の発現亢進が、PEのTreg分画でも認められた。以上よりⅠの目標は達成された。 Ⅱ. 妊娠子宮で機能する抗原特異的Tregの誘導過程を明らかにする。(2021-2022年度) TregとCD4+Tconvは認識する抗原と誘導経路が異なる可能性が示唆された。マウスでは、Tregは所属リンパ節で抗原提示されexpansionしたものが子宮へ誘導されていると報告されており、ヒトでも同様の誘導経路である可能性が示唆された。一方、子宮局所でTconvがPD-1+subsetへ分化している可能性が示唆され、母子境界領域で免疫寛容の誘導メカニズムの一つかもしれない。以上が判明したことによりⅡの目標も概ね達成されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
PEでのTreg分画における病態関連分子の同定と、TregとCD4+Tconvの誘導経路の違いを明らかにすることができたため、論文作成・投稿を行う。
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Causes of Carryover |
論文作成時の英文校正を2022年度に行う予定であったが、データ解析に時間を要したため2023年度に行うこととした。したがって次年度使用額が生じた、2023年度に、英文校正と論文投稿を行うため、その費用として使用する。
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[Journal Article] Chloroquine is a safe autophagy inhibitor for sustaining the expression of antioxidant enzymes in trophoblasts.2023
Author(s)
Furuta A, Shima T, Yoshida-Kawaguchi Mihoko, Yamada K, Yasuda I, Tsuda S, Yamaki-Ushijima A, Yonede S, Higashisaka K, Cheng SB, Matsumoto K, Tsutsumi Y, Sharma S, Saito S, Nakashima A
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Journal Title
J Reprod Immunol.
Volume: 155
Pages: 103766
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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