2021 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸部円錐切除後の頸管狭窄を予防する新たな治療法の開発
Project/Area Number |
21K16773
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
橋口 真理子 佐賀大学, 医学部, 寄附講座講師 (10535751)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / 円錐切除術 / 頸管狭窄 / コラーゲンビトリゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
頸管狭窄抑制のビトリゲルデバイスとして、留置型の頸管狭窄抑制デバイスを考え、このデバイスの効果および強度についての評価を行った。子宮内避妊リングにコラーゲンビトリゲルを合わせることで、留置可能なデバイスとなった。簡便に留置や抜去ができるという点でもこのデバイスは可能であると考えた。ウサギ円錐切除モデルに対し、このデバイスを留置した結果、狭窄抑制効果があることを確認した。次に、中型動物の評価としてミニブタに変更し、子宮頸部に、電気メスにて円錐切除を行った後、上記デバイスを留置した。円錐切除後21日目に子宮を摘出し、円錐切除部の組織学的状態、留置デバイスの変化等、その詳細について病理学的に評価を行った。コントロールとして何も留置しない無処置群と、ナイロン糸のみ留置した群を用意し、その処置後の比較検討も行った。子宮頸部は肉眼的に、無処置群やナイロン糸留置群では嚢胞状に拡張し、デバイス挿入群では正常外観のままであった。組織学的には、無処置群とナイロン糸留置群では、術後の子宮頸部間質では、著明な線維化がみられ、同部分には筋線維細胞の増生がみられた。これにより頸管狭窄が生じたと考えられた。デバイスを留置した群では、間質内の膠原繊維の増生や筋線維芽細胞の増生が前述の2群と比較して有意に少なく、線維化が抑制されていた。デバイスによって術後の頸管狭窄が抑制されたと考えられる。このメカニズムの解明までは至っていないが、デバイスによる頸管狭窄の効果については評価できた。またその仕様および強度についても検討できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
留置型のデバイスの検討やその効果の組織学的評価という点ではおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として以下について検討予定である。 まず、デバイスの生物学的作用の解析を行う予定である。処置後に摘出した子宮頸部において、TGF-β, PDGF, MMP, TIMPに関連する蛋白発現をWestern blotにて解析し、検討を行う。この知見を基に、時間経過に伴う組織再生のプロファイルを確認すると共に、性能向上が期待できる分子を絞り込む。治療ターゲットとなる分子をReal-time PCR, Western blottingで検証し、付与する薬物(生理活性物質)についても検討する。その結果をうけ、最終型の薬剤付与デバイスの作製について検討する。ハンドリングに優れた形状と、狭窄抑制作用薬を含有した改良型の薬剤付与デバイスを作製する。さらにその最終型デバイスにおける狭窄予防の評価を行う。また、ミニブタの長期飼育が可能であれば、デバイス留置、抜去後の病変再発の有無についても検討を行う。また、再度デバイスを留置することによる再発病変への治療効果を病理学的に評価する。 これまでに得られた研究成果について学会発表、論文作成を行う。また製品化を希望する製薬企業が現れた場合、共にPMDA(医薬品医療機器総合機構)との本デバイスに関する薬事戦略相談(事前面談)を受ける。その結果を踏まえ、医師主導治験の立案を行う。PMDAの助言を基に製品承認に必要な安全性試験の準備を行う。
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Causes of Carryover |
なし
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Research Products
(1 results)