2021 Fiscal Year Research-status Report
婦人科感染症のNGSを用いた真の起因菌の解析による新たな治療戦略の基盤的研究
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21K16777
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野上 侑哉 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90574294)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NGS / 骨盤内膿瘍 / 婦人科 / 16sRNA / 放線菌症 / リンパ嚢胞感染 / 子宮留膿腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、婦人科感染症に対し、新規技術をもちいた培養検体の解析により、新知見を得ようという研究であり、まずは、検体の収集が必要となる。本施設にて、婦人科感染症に対し、治療行う患者をリクルートし、同意取得の上、余剰検体を収集、保存している。2021年度には婦人科感染症の培養検体を、延べ34症例から42検体収集した。(リンパ嚢胞感染16例、蜂窩織炎5例、子宮留膿腫6例、治療後骨盤内膿瘍6例、放線菌症1例) そのうち、15検体をNGSによる菌叢解析での菌種同定の解析を行った。解析を行ったうちの12検体は、婦人科癌治療としてのリンパ節郭清後に生じたリンパ嚢胞感染であり、3検体は骨盤放線菌症の患者からの検体であった。通常、放線菌症は培養検査結果にて確定診断となるが、その培養困難さから、感度は低く、当該症例も細胞診での菌塊像からの推定診断のみであった。今回NGSによる菌叢解析での菌種同定により、放線菌が同定され、新たな診断方法の例示となることが期待されたが、当該症例の検体からは同定されなかった。今後も症例を重ねていく。 リンパ嚢胞感染に関しては、未解析保存検体中にも4検体あり、今後解析予定である。30例を目途に真の起因菌の分布として発表することを計画している。 また子宮頸癌治療前に子宮留膿腫として子宮内腔に膿の貯留が見られることが多くあり、治療中に侵襲により敗血症を呈する例がある。その子宮頸癌合併の子宮留膿腫の起因菌分布もこれまで報告されたことはない。現在6例の未解析保存検体があり、今後解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで本施設の治療実績から予定された症例数が発生していない。婦人科癌治療のためのリンパ節郭清後に生じる合併症としてのリンパ嚢胞感染や蜂窩織炎は、下肢の傷などから発生すると言われており、COVID19の流行により、人々の行動制限が患者減少に影響している可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
症例のリクルートを漏れなく行い、検体収集に努める。
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Causes of Carryover |
想定よりも検体収集の頻度が少なく、解析を施行する頻度が少なかったため、次年度使用額が発生した。すでに収集してある検体も含め、翌年度に解析を行い、使用する計画である。
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