2021 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症の進展におけるマクロファージの役割の解明と治療標的の探索
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21K16783
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真壁 友子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50851086)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | M2マクロファージ / PGE2 / 共培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
フローサイトメトリーを用いた解析でM2マクロファージの細胞表面抗原であるCD163とCD206の発現は子宮内膜症患者と非子宮内膜症患者の間で差を認めなかった。マイクロアレイ分析では、子宮内膜症患者の腹腔内マクロファージの性質として、血管新生作用 (IL-8、VEGF) や向炎症作用 (IL-6、TNFα) が強い、好中球遊走作用 (CXCL2、CXCL3)が強いことが示唆された。また、抗原提示能 (HLA-DRA) が低い、Th1細胞誘導能 (CXCL10、CCL5) が低下、Th2細胞誘導能 (CXCR4) が上昇していることが示唆された。典型的なM2型にはあてはまらないもののM2型の性質をより多く有しておりM2 likeであると言え、腹腔内マクロファージの偏位は子宮内膜症の進展に寄与することが示唆された。 さらに腹腔内マクロファージとESCとの共培養実験により、この腹腔内マクロファージの性質は、何らかの可溶性因子を介した子宮内膜症間質細胞との持続的な相互作用により獲得されることが示唆された。そして共培養上清中のPGE2濃度の上昇や、PGE2刺激により共培養の際と同様の腹腔内マクロファージの性質変化がみられたことより、腹腔内マクロファージのM2 likeな性質獲得にPGE2が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮内膜症患者のマクロファージのプロファイルの同定が進んでおり、病態を説明しうる結果が得られている。子宮内膜症間質細胞と腹腔内マクロファージの共培養の実験系を確率することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる子宮内膜症患者のマクロファージの性質解明のため宮内膜症患者におけるマクロファージの単一細胞解析を行う。 腹腔鏡下手術を施行した非子宮内膜症患者、子宮内膜症患者より腹腔内貯留液を採取し、マクロファージマーカーであるCD14陽性細胞を単離し、単一細胞RNA sequence解析を行う。 また、子宮内膜症モデルマウスに上記実験から導かれたPGE2阻害薬を投与することで、子宮内膜症病変に対する治療効果や腹腔内免疫環境の変化について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ渦のため国際学会等への出席ができず当初の予定より旅費がかからなかったため。本年度単一細胞解析を行う予定であり、これに研究費を充てる計画としている。
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Research Products
(2 results)