2024 Fiscal Year Research-status Report
先天性トキソプラズマ感染症におけるペア型レセプターを介した免疫逃避機構の解明
| Project/Area Number |
21K16791
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| Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内田 明子 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30866364)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | 先天性トキソプラズマ症 / トキソプラズマIgM陽性 / トキソプラズマPCR / nested PCR / multiplex PCR |
| Outline of Annual Research Achievements |
日本の妊婦のトキソプラズマ抗体保有率は10%で、地域差がある。日本の妊婦の初感染率は約 0.13%とされ、約30%に胎児感染が起こる。2019年の報告で妊婦抗体スクリーニングと治療を行った状況下で、先天性トキソプラズマ感染児の発生は、10,000 分娩あたり0.9 人~2.6 人と推計されている。 妊娠初期検査で施行した血液検査でトキソプラズマIgM陽性のため、胎児の先天性トキソプラズマ症の可能性を危惧されて、当院へ精査目的に紹介となり、2020年4月から2024年12月末までに分娩となった101例について検討を行った。分娩時に提出された胎盤を病理検査へ提出したが、トキソプラズマ原虫の存在はなかった。分娩時に臍帯血を採取しトキソプラズマIgG抗体、IgM抗体をそれぞれ測定したところ、トキソプラズマIgM抗体陽性の例は認めなかった。出生児の頭部CT、眼科診察、聴性脳幹反応検査もすべて異常がなかった。出生児は生後1歳までフォローされ、母体から移行したトキソプラズマIgG抗体が陰転化するまでフォローを継続している。 先天性トキソプラズマ症の診断項目の一つに、血液/尿/髄液のいずれかでトキソプラズマDNAが検出されるとういうものがある。今回の研究で、101例のうち新生児血トキソプラズマPCR陽性となった8例についてさらに探索を行った。これらの8例はいずれも出生時血液トキソプラズマPCR陽性以外は、先天性トキソプラズマ症の症状がなかった。発達フォローも継続したが、異常なく発達している。 そこで、日本のように先天性トキソプラズマ症の発生率が低い国においては、診断項目の一つである、児の体液トキソプラズマDNA陽性という診断項目と実際の臨床所見とには乖離があるのではないかと考える。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2024年1月より産前休暇を取得し、出産を経て、産後休暇、育児休暇を連続して取得したため。
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| Strategy for Future Research Activity |
先天性トキソプラズマ症の診断項目の一つである、児の体液トキソプラズマDNA陽性という診断項目と実際の臨床所見とには乖離があるのではないかと考え、これについて論文発表を行った。Discrepancies in the Diagnosis of Congenital Toxoplasma gondii Infection Between B1 Gene Semi-Nested Polymerase Chain Reaction and Serological Analyses (Microorganisms. 2025 Mar 5;13(3):601. doi: 10.3390/microorganisms13030601.) 今後は学会発表を行い、産婦人科医だけでなく、小児科医、感染症専門医からの意見をいただき、さらに活発な議論をさせていき、先天性トキソプラズマ症の診断、また、児のフォローについて新たな提案ができないかと考えている。それを基に、トキソプラズマIgM抗体陽性の妊婦に情報提供を行えるようにしていきたい。
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| Causes of Carryover |
2024年1月より産前休暇を取得し、産後休暇、育児休暇を取得したため、研究が遅れてしまった。復職後に論文を作成し、発表を行えたが、学会発表がまだ行えておらず、これから行っていく予定である。
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