2021 Fiscal Year Research-status Report
卵巣がんにおける長鎖非コードRNA複合体の同定および機能解明と診断・治療への応用
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21K16798
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
竹岩 俊彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20635643)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣がん / 長鎖非コードRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、卵巣がんの悪性化・進展にかかわる新規長鎖非コードRNAを同定し、そのRNAがRNA結合タンパク質と形成する複合体の実体と作用機序を明らかにして卵巣がんの新規診断・治療法の開発と臨床応用につなげることを目的とする。 現在までに卵巣がん臨床検体を用いた次世代シーケンス解析をもとに、卵巣がんの悪性化・進展にかかわる長鎖非コードRNAとしてovarian cancer long intergenic noncoding RNA 1 (OIN1)を新たに同定し、OIN1が卵巣がん細胞の増殖およびアポトーシスを調節することを明らかにした。また、OIN1の下流遺伝子としてアポトーシスにかかわる遺伝子であるras association domain family member 5 (RASSF5)とadenosine A1 receptor (ADORA1)を同定した。さらに、OIN1特異的siRNA核酸製剤の処理により卵巣がん異種移植マウスモデルにおける腫瘍の増殖が抑制されることを示し、OIN1特異的siRNA核酸製剤の卵巣がん治療への応用可能性を提唱した。本成果を国際学会において発表し (Keystone Symposia “Non-Coding RNAs: Biology and Applications (EK44)”)、国際英文誌Int. J. Mol. Sci.より原著論文として刊行した (Takeiwa T, et al. Int. J. Mol. Sci. 22, 11242, 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、卵巣がん臨床検体を用いた次世代シーケンス解析より、卵巣がんで高発現する長鎖非コードRNAとしてovarian cancer long intergenic noncoding RNA 1 (OIN1)を新規に同定した。OIN1の卵巣がんにおける役割を明らかにするため、OIN1特異的siRNA核酸製剤を用いたOIN1の発現抑制実験を行い、OIN1が卵巣がん細胞の増殖およびアポトーシスの調節にかかわることを明らかにした。また、卵巣がん臨床検体および卵巣がん細胞株を用いた解析より、OIN1がアポトーシスにかかわる遺伝子であるras association domain family member 5 (RASSF5)およびadenosine A1 receptor (ADORA1)の発現を抑制することを見出した。さらに、OIN1特異的siRNA核酸製剤の処理により卵巣がん異種移植マウスモデルにおける腫瘍の増殖が抑制されることを示した。このように、卵巣がんの悪性化に関与する新規長鎖非コードRNAとしてOIN1を同定し、OIN1特異的siRNA核酸製剤が卵巣がんの治療に応用できる可能性を示す成果を上げられたことから、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣がんにおける長鎖非コードRNA-タンパク質複合体の役割を解明するための研究を継続して行う。卵巣がん臨床検体や卵巣がん細胞の次世代シーケンス解析や、卵巣がん細胞を用いた生化学・分子生物学的解析をさらに進め、長鎖非コードRNA-タンパク質複合体の機能と作用メカニズムを解明していく。公共データベースに登録された卵巣がんにおける遺伝子発現プロファイルや患者予後に関するデータの活用も検討する。卵巣がん異種移植マウスモデルを用いたin vivoにおける機能解析も進めていく予定である。
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