2022 Fiscal Year Research-status Report
胎盤幹細胞モデルを用いた前置胎盤の遺伝子発現とエピゲノム制御
Project/Area Number |
21K16804
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濱田 裕貴 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80892108)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 前置胎盤 / 幹細胞 / 遺伝子発現 / エピゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前置胎盤は母児の生命を脅かす産科的重症疾患の一つである。本疾患の発症のリスク因子に多産、高齢、体外受精、喫煙などが挙げられ、児には早産、貧血、呼吸障害、脳障害などのリスクを増加させるが、その分子生物学的な機序は充分に解明されていない。一方で、本疾患はヒト特有であり、動物モデルが存在せず、その発症機序や分子生物学的解明が進められてない。本研究では、前置胎盤由来のヒトTS細胞株を樹立、分化誘導した胎盤細胞での疾患特異的な遺伝子発現やエピゲノム制御とその細胞特性の関連性を見出し、前置胎盤の発症機序および児の予後に影響しうる分子メカニズム解明を目的とする。前置胎盤症例の疾患TS細胞株樹立と機序解明は、世界で本研究室だけが実施できる独創的な研究である。 研究計画は以下のとおりである。令和3年度に前置胎盤患者由来の胎盤を収集し、胎盤細胞を精製し以下の解析までは冷凍保存を行う。令和4年度には、収集した胎盤細胞やTS細胞の遺伝子発現やエピゲノム解析を開始する。令和5年度には、得られた疾患発現・エピゲノムデータを統合し、各ゲノムの領域の発現・エピゲノムを比較することで、遺伝子発現制御に関わる疾患特異的なエピゲノム修飾を模索する。これらの知見を踏まえ、学会発表や論文執筆を行う。 令和4年度においては、前年度に引き続き前置胎盤由来の胎盤を収集、胎盤細胞を精製し、凍結保存を行うことを継続した。また、論文執筆に必要な資料や文献の収集を行った。 本研究の成果は、前置胎盤の病態解明だけでなく、その予防法や治療法の発見、さらには前置癒着胎盤の予防にも貢献できる可能性を秘めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度においては、前年度に引き続き前置胎盤由来の胎盤を収集、胎盤細胞を精製し、凍結保存を行うことを継続した。また、論文執筆に必要な資料や文献の収集を行った。しかし、収集した胎盤細胞やTS細胞の遺伝子発現やエピゲノム解析を開始できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者が所属する施設では、県内の前置胎盤症例が集約されており、年間に20-30例の前置胎盤症例を取り扱うため、今後も継続的に胎盤細胞の収集が可能である。またすでにその他の疾患のTS細胞株を樹立しており、本疾患におけるTS細胞株樹立を開始できる状況である。続く遺伝子発現解析、エピゲノム解析を行う準備が出来ている。
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Causes of Carryover |
収集した胎盤細胞やTS細胞の遺伝子発現やエピゲノム解析を開始できていないため、未使用額が生じた。解析を進めるため、令和5年度の請求額と合わせて令和5年度に使用する予定である。
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