2022 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症におけるトロンボキサンの役割解明と治療応用
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21K16821
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
服部 響子 北里大学, 医学部, 助教 (30566948)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / トロンボキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
月経困難症、不妊症などで生殖年齢女性のQOLを損ねる子宮内膜症には、有効な治療法が望まれている。しかしながら、子宮内膜症の原因は十分には理解されていない。子宮内膜症では子宮内膜組織が増殖することから、病変内で血管新生やリンパ管新生が増強して子宮内膜症を進展させる可能性がある。本研究課題では内因性トロンボキサンA2が子宮内膜症進展に役割と果たすことと、その制御機構には血管・リンパ管新生が関与することを調べている。ドナーマウスから採取した子宮内膜片を宿主マウスの腹膜に移植させる異所性子宮内膜症モデルを作成した。その結果、宿主側にトロンボキサンA2受容体(TP)シグナルがあることで、内膜症進展が抑制され、これには子宮内膜移植片内の血管新生とリンパ管新生の減少が関与した。さらにマクロファージからTPシグナルを介して血管およびリンパ管新生促進因子産生が抑制されることが関与していることが分かった。そこでトロンボキサンA2酵素阻害薬を投与したところ、子宮内膜症や内膜症病変内の血管およびリンパ管新生が抑制されることが分かった。さらに内膜病変に集積するマクロファージの表現形式を解析すると炎症性マクロファージよりも抗炎症性マクロファージが増加していることが示唆された。マクロファージ由来のトロンボキサン受容体シグナルが関与することを培養骨髄マクロファージを用いて検討した。その結果、野生型マウス由来のマクロファージをTXA2で刺激すると、血管新生因子やリンパ管新生因子産生が減少し、TXA2受容体欠損マウス由来のマクロファージをTXA2で刺激しても血管新生因子やリンパ管新生因子産生は減少しなかった。これらの結果からマクロファージにあるTPシグナルが子宮内膜症進展抑制と血管・リンパ管新生阻害に関与する可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が、当初に立案した実験計画に沿って、ほぼ順調に遂行されている。遺伝子改変マウスを用いて、異所性子宮内膜症モデルでは、トロンボキサン受容体シグナルは血管新生やリンパ管新生を減少し、子宮内膜症進展に関与する可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画に沿って、本研究を進めていく。マクロファージにおけるトロンボキサン受容体シグナル細胞が子宮内膜症病変における血管およびリンパ管新生を増強の関与が示唆されたことから、マクロファージ特異的TP受容体欠損マウスを用いた検討を進める。
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Causes of Carryover |
購入予定であった消耗品の納入が間に合わなかったことから次年度に繰り越した。これらに加え、来年度では実験動物関連と細胞培養関連を中心とした消耗品の補充及び実験動物の購入費に充てる予定である。
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