2021 Fiscal Year Research-status Report
PARP阻害剤の抵抗性獲得を防ぐーBRCA1/2変異オルガノイドの活用ー
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21K16822
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉浜 智子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30626461)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / オルガノイド / トランスクリプトーム / オミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は卵巣癌オルガノイドバンクの検体を用いて、ex vivoにおいてPARP阻害薬に対する抵抗性獲得機構を明らかにし、抵抗性獲得を防ぐ薬剤を開発すること、BRCA1/2変異卵巣癌オルガノイドを用いてPARP阻害薬投与後のMinimal residual disease(MRD)におけるゲノム、トランスクリプトーム、エピゲノムの変化を解析し、抵抗性獲得の主要な分子機構を明らかにすることである。そして抵抗性獲得を防ぐ低分子化合物および核酸医薬を開発する。今年度はBRCA1病的バリアント(p.L63X)を有し野生型アレルがloss of heterozygosityを来たしているオルガノイドを用いてPARP阻害薬投与後のMRDのマルチオミクス解析を行う計画であった。ATACシーケンスが死細胞を含んでいると解析が困難であったため、IC10の濃度で14日間オラパリブを投与した。その検体を用いてRNAシーケンスおよびATACシーケンスを行った。RNAシーケンスの結果からオラパリブ投与に伴い入るサバイバルシグナルを同定した。その妥当性を明らかにするためにATACシーケンスの結果と統合解析を行った。ATAC-seq の結果からオープンクロマチン領域のモチーフ解析を行い、RNA-seqでスコア化した転写因子とオープンクロマチン領域のモチーフ解析を統合し、MRDにおいて重要な関与を果たしている転写因子を明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オラパリブ投与により死細胞を出さない条件でオルガノイドを培養する条件を確立することができ、RNAシーケンスおよびATACシーケンスを行うことが可能であった。抵抗性獲得に関わるシグナルの候補をいくつか抽出することができた。現在qPCR等で妥当性を解析しており、今後CRISPR-Casシステムを用いた機能解析に予定通りうつることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通りCRISPR-Casを用いて同定した分子をノックアウトし、オラパリブの感受性および抵抗性獲得に対するその分子の影響を解析する。MRDにおいて活性化している転写因子およびその経路を標的とした核酸医薬および低分子化合物を開発する。シングルセル解析を用いてオラパリブ抵抗性獲得メカニズムを明らかにし、抵抗性獲得の根絶を目指す。
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Causes of Carryover |
2021年度はRNAシーケンス、ATACシーケンスとともにオルガノイドのゲノム解析を行う予定であったが、ゲノム解析は2021年度中に行うことができなかった。2022年度にゲノム解析を行う予定としたため、次年度使用額が生じている。
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[Presentation] 進行卵巣癌・卵管癌・腹膜癌が疑われた症例に対する診断的腹腔鏡手術の有用性の検討および当院における工夫について2021
Author(s)
吉浜智子, 林 茂徳, 高橋美央, 吉村拓馬, 坂井健良, 辻 浩介, 西尾 浩, 千代田達幸, 山上 亘, 阪埜浩司, 青木大輔
Organizer
第61回 日本産科婦人科内視鏡学会
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[Presentation] 漿液性癌以外の組織型の卵巣癌再発に対してOlaparibを投与した4例2021
Author(s)
島田智子, 吉浜智子, 千代田達幸, 高橋美央, 黒田由香, 吉村拓馬, 平野卓朗, 辻 浩介, 西尾 浩, 仲村 勝, 山上 亘, 青木大輔
Organizer
第141回 関東連合産科婦人科学会
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