2022 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部扁平上皮癌を高悪性化させるスプライシング異常を標的とする治療法の開発
Project/Area Number |
21K16831
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 公二 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (40804365)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / RNAスプライシング / 核酸医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はスプライシング制御因子SF3B2高発現が頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)の細胞や腫瘍増殖能を亢進させることを見出した。これはSF3B2によってHNSCCに発現するRNAスプライシングパターンが変化しHNSCCの悪性度を増大させることが示唆された。そこでSF3B2がRNA前駆体に結合して選択的スプライシング異常を誘導することから、核酸医薬を用いてHNSCCを高悪性化に導く選択的スプライシング異常を特異的に制御する手法の開発に取り組んだ。この選択的スプライシング異常を特異的に制御する方法として核酸医薬の一つであるデコイを用いた治療法に着目した。すでに前立腺癌においてSF3B2がRNA前駆体に結合する配列を同定していたため予備実験でSF3B2の前立腺癌への結合配列を用いて核酸医薬を作製し、HNSCC細胞株に導入したところ細胞増殖が抑制されることを見出した。そこでPAR-CLIPを用いてHNSCCに特異的なSF3B2の結合配列を同定した。特異的な配列をもったデコイを作成し、HNSCC細胞株に導入した。しかし、コントロール、特異的配列を持ったデコイを導入したいずれの細胞株において全ての細胞死を認めた。これはデコイの不安定性のため修飾した物質の細胞毒性が強かったことが原因と考えられた。さらに修飾のための条件を検討したが状況は改善せずこれ以上デコイによる治療法の開発は困難であると考えられた。
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