2022 Fiscal Year Research-status Report
Novel Development of Gene Delivery for Inner Ear -Dual Vector Method-
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21K16832
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大道 亮太郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (20771299)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アデノ随伴ウイルス / 有毛細胞 / 遺伝性難聴 / 遺伝子治療 / 内耳 / 感音難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの検討で、蝸牛が成熟している生後4週目の野生型マウスに対し、Round window membrane + Canal fenestration法(以下RWM+CF法)で2種類のAdeno associated virus (以下AAV)を内耳に導入した。血清型タイプ2(以下AAV2)、血清型タイプ9(以下AAV9)を用い、それぞれのベクターには蛍光タンパクであるeGFP(緑色蛍光)とmCherry(赤色蛍光)を組み込んだ。その際の濃度は先行研究での濃度に合わせるように、各ベクター濃度はその半分の濃度とした。具体的な濃度は以下の通りである。AAV2- EGFP at 1.84 _ 10^12 GC/mL, AAV2-mCherry at 1.07 _ 10^12 GC/ mL, AAV9-EGFP at 1.2 _ 10^12 GC/mL, AAV9-mCherry at 1.24 _ 10^12 GC/mL。 注射後2週間目に聴性脳幹反応で聴力を評価したところ、注射された側の耳と対側の未治療の耳を比較し、低音域から高音域にかけて明らかな聴力低下を認めず、Dual transductionによる聴毒性は認めないと判断した。聴力を評価した後に安楽死させた上で、側頭骨を採取し、内耳を取り出し、固定した。免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡による内有毛細胞及び外有毛細胞への感染率を検討した。 AAV2同士の組み合わせでは内有毛細胞への導入効率は96.92%とsingleの場合と同様の高効率であった。外有毛細胞に対しては、ApexとMiddleにおいて90%以上の高効率を認めた一方で、Baseに関しては効率が低下しており、全体としては65.59%と他家の報告よりも高値ではあったが、singleの効率と比較すると低下を認めた。 AAV2によるDual transductionは有毛細胞においてsingleと同様に高率に導入されており、遺伝子治療における高い有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。2種類のAAV2をRWM+CF法で内耳内に注射し、遺伝子導入を試みた。注射後2週間目に聴力検査を施行し、同一個体で術側と非術側を比較したところ、明らかな聴力低下を認めなかった。AAV2を組み合わせたDual Transductionの有毛細胞への導入効率は、既報と比較しても最も高効率の導入結果を示した。次段階の検討として、その他AAV2とAAV9の組み合わせやAAV9同士などの導入効率について、同様に共焦点レーザー顕微鏡での観察などを行う予定である。以上の様に、当研究では、これまでに研究の目的にそった実験データがえられているので、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次段階の検討として、AAVにeGFPを2分割したものを組込み、RWM+CF法で内耳内に投与して、蝸牛感覚細胞内で蛋白質機能(蛍光)を発現するかどうかを示す。これによりDual Transductionされたものが真に分割された遺伝子を組み合わせて発現されられるかを判断できる見込みである。また、当研究のテーマである、マウス内耳への遺伝子ベクター投与法の研究をさらに発展させるため、アデノウイルスベクターだけでなく、その他の遺伝子ベクターを内耳に投与して、感覚細胞に導入されるかどうか検討する。これらの遺伝子ベクターを内耳へ投与して、その導入効率や聴力への影響を検討し、細胞障害を引き起こすことがないかどうか確認する。これにより次段階の研究計画の立案につなげる。
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Causes of Carryover |
2022年度までの経費は、マウス内耳に遺伝子ベクターを注射するための実験系の立ち上げや、マウスの購入費用・試薬代・共同実験室の使用料などに用いたが、特に研究遂行上のトラブルなどもなく、反復実験の必要性もなかったので、次年度使用額が生じた。今後の経費の使用計画をしては、引き続きマウス内耳に遺伝子ベクターを投与する実験器具のメンテナンスや、マウスの購入費用、共同実験室の使用料などに経費をもちいる。また、日本耳科学会総会、日本めまい平衡医学会などの学会に参加して、当研究に必要な最新の知見を収集するとともに、成果発表を行う。したがって学会旅費の支出を計画する。さらに、本研究の期間内に、英文原著論文を出版することを目標とする。英文論文の受託校正費用や投稿料の支出を計画する。
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