2021 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺癌癌幹細胞をターゲットとした新規治療戦略の開発
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21K16845
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 貴史 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20770100)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 唾液腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、化学療法抵抗性である唾液腺癌の治療抵抗性の原因の解明や、新たな治療戦略の確立を目的としている。 当該年度において唾液腺癌(粘表皮癌、腺様嚢胞癌、唾液腺導管癌)の細胞株樹立や唾液腺癌マウスモデルの樹立を目指しているが、新規細胞株樹立及びマウスモデルの樹立は出来ていない。海外からの細胞株入手が出来ていないことに加え、唾液腺癌の細胞の抽出及び培養の困難さによるものが原因であると考えられる。さらに、術前から唾液腺癌の組織型の診断が非常に困難であることも唾液腺癌の生標本が入手困難である原因となり、細胞株やマウスモデル樹立の障害となっている。 一方で、唾液腺癌の治療抵抗性に関わっていると推測される複数のタンパク質の候補や、治療ターゲットとなりうる複数のタンパク質の候補が挙がっている。唾液腺癌においてこれらのタンパク質をターゲットとした抗体を用いてin situ hibridization法や免疫染色にて評価し、臨床病理学的因子・予後の関連を解析し論文にて発表している。特筆すべきは、唾液腺癌はEGFRタンパク発現の頻度は高いものの(唾液腺癌の77.8%にEGFRタンパク過剰発現あり)、EGFR遺伝子コピー数の増加の頻度は少なく(唾液腺癌の16.7%のみ)、進行頭頸部癌に対して使用されているEXTREMEレジメン(セツキシマブ+シスプラチン/カルボプラチン+5-FU)の効果は乏しいということである(Nakano et al. In vivo 2022)。更に、唾液腺癌の知識を他の頭頸部癌に応用して、同様にin situ hibridization法や免疫染色にて評価し、臨床病理学的因子・予後の関連を解析し論文にて発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞株やマウスモデル樹立に関しては遅れているものの、臨床検体を用いた評価や臨床病理学的因子との関係・予後との相関については評価が進んでおり、論文発表も出来ているため、総合的に評価すると概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、唾液腺癌の細胞株樹立及びマウスモデルの樹立を目指す。樹立できた場合は、これらを用いて、治療抵抗性の原因となっているタンパク質検索およびこれらのタンパク質をターゲットとした治療の効果を評価する。加えて、引き続き臨床検体を用いたタンパク発現の評価や治療ターゲットとなり得るタンパク質の候補を探る。更に、これらの知識を他の頭頸部癌に応用することも検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で国際学会など学会出張が予定よりも少なかったことが最も影響している。当該年度の残額を翌年度に繰越を行い、in vivo/in vitroや免疫染色などの実験および、翌年度の学会出張費などへ使用予定である。
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Research Products
(8 results)