2022 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺癌癌幹細胞をターゲットとした新規治療戦略の開発
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21K16845
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Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
中野 貴史 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 頭頸科 (20770100)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 唾液腺癌 / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、化学療法抵抗性である唾液腺癌の治療抵抗性の原因の解明や、新たな治療戦略の確立を目的としている。 当該年度において唾液腺癌(粘表皮癌、腺様嚢胞癌、唾液腺導管癌)の細胞株樹立や唾液腺癌マウスモデルの樹立を目指しているが、新規細胞株樹立及びマウスモデルの樹立は出来ていない。海外からの細胞株や試薬の入手が出来ていないことに加え、唾液腺癌の細胞の抽出及び培養の困難さによるものが原因であると考えられる。さらに、術前から唾液腺癌の組織型の診断が非常に困難であることも唾液腺癌の生標本が入手困難である原因となり、細胞株やマウスモデル樹立の障害となっている。 一方で、唾液腺癌の治療抵抗性に関わっていると推測される複数のタンパク質の候補や、治療ターゲットとなりうる複数のタンパク質の候補が挙がっている。唾液腺癌においてこれらのタンパク質をターゲットとした抗体を用いてin situ hibridization法や免疫染色にて評価し、臨床病理学的因子・予後の関連を解析し論文にて発表している(Nakano et al. In vivo 2022)。更に、唾液腺癌の知識を他の頭頸部癌に応用して、同様にin situ hibridization法や免疫染色にて評価し、臨床病理学的因子・予後の関連を解析し論文にて発表している。特筆すべきは現在唾液腺癌を含む頭頸部癌の薬物治療の中心となっている免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待できる患者集団の候補を示すことができたことである(Nakano et al. Anticancer Research 2022, Jiromaru et al. Eur Arch Otorhinolaryngol 2022, Manako et al. In vivo 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞株やマウスモデル樹立に関しては遅れているものの、現時点で可能な範囲での研究を進めている。研究実績の概要に示した様に、臨床検体を用いた評価や臨床病理学的因子との関係・予後との相関については評価が進んでおり、複数の論文発表も出来ているため、総合的に評価すると概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、唾液腺癌の細胞株樹立及びマウスモデルの樹立を目指す。樹立できた場合は、これらを用いて、治療抵抗性の原因となっているタンパク質検索およびこれらのタンパク質をターゲットとした治療の効果を評価する。加えて、引き続き臨床検体を用いたタンパク発現の評価を行い、治療ターゲットや治療効果の判断材料となり得るタンパク質の候補を探る。さらに、これらの知識を他の頭頸部癌に応用することも検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍持続しており、国際学会など学会出張が予定よりも少なかったことが最も影響している。当該年度の残額を翌年度に繰越を行い、in vivo/in vitroや免疫染色などの実験、ドライ解析および、翌年度の学会出張費などへ使用予定である。
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[Presentation] 上咽頭癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果について2022
Author(s)
真子 知美, 中野 貴史, 松尾 美央子, 竹内 寅之進, 田浦 政彦, 玉江 昭裕, 山内 盛泰, 倉富 勇一郎, 益田 宗幸, 田口 健一, 安松 隆治, 中川 尚志
Organizer
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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