2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of polarity acquisition in the auditory hair cells
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21K16856
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
十名 洋介 京都大学, 医学研究科, 助教 (80898073)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | セントリオール / 有毛細胞 / マイクロチューブル |
Outline of Annual Research Achievements |
内耳は蝸牛、半規管、および平衡斑からなり、それぞれには有毛細胞、支持細胞などを含む感覚上皮が存在する。成熟した有毛細胞では、細胞頂部のキノシリアが一端に局在し、階段状のステレオシリアがキノシリアに連なるように細胞内極性を形成する。我々は以前の報告で、摘出卵形嚢でのライブイメージングにより極性の形成過程を詳細に観察することに成功した。以前、我々は卵形嚢ではキノシリアおよびmother centriole (MC)が一端に移動する際にdaughter centriole (DC)の末梢側への移動が先行することを報告した。また、極性反転線の内側と外側の有毛細胞でキノシリアの移動様式に差異はみられなかった。これを今度は卵形嚢ではなく蝸牛で観察することで極性の形成過程に卵形嚢との間で違いがあるか、また内外有毛細胞での極性形成に違いがあるかを確認することが目標である。 2022年度は、今回の研究に関する2年目であり、2021年度(初年度)Atoh1 Cre; Rosa tdTomatoおよびGFP-Centrin2マウスを入手するため、マウスを保有しているNIH、およびマウス供出元であるJackson laboratoryとMTAの契約を取り交わしていた。京都大学の動物実験施設にて、米国から送付された凍結精子から人工授精を行い、ヘテロマウスを入手した。その後、マウスの交配を行っており、Atoh1 Cre; Rosa tdTomato/Rosa tdTomatoマウス、およびGFP-Centrin2/GFP-Centrin2のマウスを確保するべく交配を進めている。一旦実験に必要なマウスが樹立されたが、また子孫を残せず、またWTのマウスと掛け合わせてマウス交配を進めている。また、E14.5-E15.5のマウスの蝸牛剖出および培養方法を検討している最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、マウスを海外から供与いただくこと、その後人工授精と交配を経て実験できる状態のマウスを準備すること、蝸牛の解剖手法と、ライブイメージング についての条件検討を進めることなどを当初の目標としていた。マウスはWTからの再交配の必要が生じたためあと1-2世代の交配の必要があるが、概ね順調に準備が整ってきている。一方で、蝸牛の解剖手法の確立についてはまだこれからの段階である。卵形嚢はE13.5で剖出していたが、蝸牛はE14.5以降となり、また蝸牛では支持細胞が卵形嚢より分厚いため、手技確立と、解剖とカバーグラスの接着の段階で工夫を要する。現在は手法の検討を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
蝸牛の摘出と培養に関する手技が安定すれば、実際にライブイメージング用の顕微鏡を用いてイメージングを行う予定である。数時間にわたるイメージングができれば、ImageJおよびFIJIを用いて組織の移動を補正した上で、Imarisなどの画像解析ソフトを用いて、有毛細胞とそのセントリオールの挙動をトラッキングする。トラッキング手法に関しては、以前卵形嚢において行なった方法を踏襲することで蝸牛でも施行可能と考えている。Imarisにて、DCとMCの挙動を観察し、内有毛細胞と1-3列目の外有毛細胞 でのキノシリア(MC)およびDCのトラッキングデータを比較し、細胞の種類で移動の仕方に 違いがあるかを確認する。
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Causes of Carryover |
今年度に関しては、マウスでの本実験に向けた条件検討と交配を行なっており、ライブイメージング実験を行うことが少なかったために金額に残余が生じました。また、学会がオンラインとなり、現地参加に比べて旅費 が軽減されたのも残額が生じた一因です。今年度は、実際にライブイメージングを施行していくこととなる見込みですので、それに伴い試薬や消耗品費を含めた 使用金額が増えることになると思います。
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