2023 Fiscal Year Annual Research Report
大声発声の喉頭抵抗・呼気努力への依存優位性評価のための新空気力学的検査法の開発
Project/Area Number |
21K16857
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬谷 昌範 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員 (00804353)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 呼気努力 / 喉頭抵抗 / 胸腔内圧 / 腹腔内圧 / 皮膚加速度レベル |
Outline of Annual Research Achievements |
健常人の医療スタッフを被験者とした予備実験にて、①呼気流率(U)・②声門下圧の算出の条件設定、⑥喉頭抵抗および横隔膜抵抗を算出できなかった。第二の実験で、徐々に音圧の増大を認めた成功例と、増大が乏しい失敗例と、急激に増大した失敗例に分類しえたが、半数で胃・食道の蠕動あるいは声帯振動の影響と考えられる揺れの混入を認めた。また、成功例では胃内圧は陽圧のままで、胸部食道内圧は陰圧から陽圧にかけて経時的に増大しており、消化管マノメトリーを用いることにより、呼気努力を評価可能という考察に至った。 音声発声時の生理機能を明らかにする目標で実施した、健常人を対象に発声中の頸部表面加速度計、消化管マノメトリー、発声機能検査装置による同時計測の実験では、(1)クレシェンド発声課題を遂行中の音声の強さ、気流量の連続的変化を評価できること。(2)頸部表面加速度計、騒音計および発声機能検査装置の3種類の装置の計測値の間の関連性では、口の形、および頸部の姿勢が維持されている状態であれば、計測値間の線形性が維持されることを確認しえた。 クレシェンド発声中の呼吸調節の特徴を明らかにするために、成功例と失敗例間で、比較したところ発声直前吸気のピーク時、起声時、発声中の音圧レベルピーク時のいずれの点においても、胸部食道内圧および胃内圧の両方に有意差を確認したが、失敗例では、起声時の音圧レベルが成功例に比較して大きかった。また、母音クレシェンドタスクでは、呼気努力の様式の個人内差違、および個人間差違が存在することが明らかとなった。今後、母音クレシェンドタスクでは腹筋群収縮の関与の個人差の様式の多様性について定性的に明らかにし、定量的に解析可能な評価方法の確立を目指す必要がある。 COVID-19の大流行により機器納入を含め、研究計画に大幅な遅延が生じ、健常話者の呼気努力の評価法の確立に関しても道半ばの状態となった。
|