2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト前房水のシュレム管・集合管・房水静脈における房水動態の解明
Project/Area Number |
21K16868
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上野 勇太 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90759317)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 偏光感受型光干渉断層計 / 房水流出主経路 / シュレム管 / 集合管 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行した若手研究(18K16944)にて設置した偏光感受型前眼部光干渉断層計のチューニングや解析装置の改良を行った。解析プログラムを組んで、正常眼および緑内障眼の隅角撮影された生データを三次元的に観察することで、隅角においてシュレム管外壁部分が高複屈折を呈すると判明した。既報の病理所見を参照すると、この構造物はBELLと言及されており、角膜と強膜を構成するコラーゲン線維が合流する箇所である。コラーゲン線維が豊富であると複屈折が高くなることは知られているため、理論的な結果であった。偏光感受型前眼部光干渉断層計を用いたBELLの描出に関しては、学会発表および論文投稿を完了した(Transl Vis Sci Technol.2021)。 BELLはシュレム管の外壁を構成しているため、解剖学的には集合管の走行する部位に相当すると思われる。この部位を画像で鮮明に描出することは隅角解析においてのメルクマールに出来るほか、BELLの定量評価を行うことで集合管や房水主流出路の抵抗をうかがいしる1つの指標になり得ると推測している。マニュアルで部位を指定して定量解析した結果では正常眼よりも緑内障眼でBELLの複屈折性は高くなっており、予想通りの結果が得られた。今後は科学的な根拠を持たせるためにオートでBELLを特定するアプリケーションを開発し、それによってBELLの定量解析を可能にし、正常眼と緑内障眼の比較を行う予定である。 同時並行で、標準粒子溶液を用いた粒子測定の実験系を構築している。最適な画像解析プログラムの選別が進んでおらず、この点に関しては今後早急にプログラムを確定し、実験に取り組みたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
隅角解析の項目に関しては予定以上の成果が得られ、シュレム管の外壁に相当するBELLの描出に関して論文投稿も完了した。またマニュアル解析であるがBELLは緑内障眼で高複屈折であることも発見した。『シュレム管・集合管周囲の構造評価』の点では順調である。一方で、標準粒子溶液を用いた粒子測定の実験は最適な画像解析プログラムの選別が遅れており、実験自体が行えていない。これ関してはマイナスであり、『前房水の流れを定量的に評価する』点で遅れを取っている分、早急にプログラムを確定して実験に取り組みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画は、基礎実験①:前眼部光干渉断層計を使用して標準粒子溶液を対象とした粒子の流れの定量測定、臨床試験①:偏光感受型光干渉断層計を用いた生体での隅角解析、光干渉断層血管撮影による強膜・結膜血管の定量評価、臨床試験②:基礎実験①と臨床試験①の組み合わせ評価や緑内障点眼や手術前後の解析、である。隅角解析の項目に関しては予定以上の成果が得られており順調である。一方で、標準粒子溶液を用いた粒子測定の実験は最適な画像解析プログラムの選別が遅れており、実験自体が行えていない。これ関してはマイナスであり、『前房水の流れを定量的に評価する』点で遅れを取っている分、早急にプログラムを確定して実験に取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究計画は、基礎実験①:前眼部光干渉断層計を使用して標準粒子溶液を対象とした粒子の流れの定量測定、臨床試験①:偏光感受型光干渉断層計を用いた生体での隅角解析、光干渉断層血管撮影による強膜・結膜血管の定量評価、臨床試験②:基礎実験①と臨床試験①の組み合わせ評価や緑内障点眼や手術前後の解析、である。標準粒子溶液を用いた粒子測定の実験は最適な画像解析プログラムの選別が遅れており、実験自体が行えていない。これによって次年度使用額が生じた。『前房水の流れを定量的に評価する』点で遅れを取っている分、早急にプログラムを確定し、今年度の実験に取り組みたいと考えている。
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