2023 Fiscal Year Annual Research Report
3次元培養を用いた甲状腺眼症における眼窩部炎症線維化の病態解明
Project/Area Number |
21K16900
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
日景 史人 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30837547)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 甲状腺眼症 / IGF-1R阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺眼症(GO)における眼球周囲組織の炎線維性変化には甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)とインスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)が共役して関与するがその病態機序は不明である。本研究ではGO患者より得られたヒト眼窩線維芽細胞(OF)の3次元培養を用いて組織の線維化・硬化を再現する病態モデルを作成し,IGF-1R阻害薬(Linsitinib)のECM remodelingを中心に検討を行った。 GO患者(n=5)よりOFを初期培養後、drop culture法を用いてspheroidを作成。10ng/mL M22 (recombinant TSH受容体抗体)と100μM IGF-1での刺激により線維性変化を誘導し、10μM Linsitinibを同時に投与し培養を6日間行った。回収したspheroidにおいて物理学特性であるサイズとマイクロ圧縮法による硬度測定を行い、様々なコラーゲンを中心としたECM関連遺伝子とタンパク質の発現をリアルタイムPCRおよび免疫染色により検討した。 GO spheroidは対照群と比較しM22およびIGF-1刺激によりサイズの変化は認めなかったが、有意な硬度の増加を認めた(相乗効果はなし)。また、M22刺激ではVI型コラーゲン(COL6) 及びフィブロネクチン(FN)の沈着増加、IGF-1ではCOL4、6、FNの有意な発現増強と沈着増加を認め、この線維性変化をLinsitinibは有意に抑制し、炎症性マーカーであるMCP1のM22及びIGF-1刺激による増加も抑制した。 IGF-1R阻害薬であるLinsitinibはGOにおける眼球周囲組織の炎線維性マーカーおよび硬化を減弱することによりGOの新規治療薬となり得る可能性を示した。
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