2021 Fiscal Year Research-status Report
網膜色素変性症に対するオプシン類の進行抑制効果の解明
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21K16907
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堅田 侑作 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40645834)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 網膜色素変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにまず予防メカニズムの評価系としてとして、まずHPLCを用いたレチノイド分析の系の立ち上げを実施した。 具体的には網膜サンプル中のAll-trans-retinalと11-cis-retinalの定性的な分析を実施できるようになった。これによって網膜中のAll-trans-retinalと11-cis-retinalの存在比を測定することが可能となった。 系の立ち上げの中で、オキシム法による網膜サンプルからのレチナール抽出方法の最適化、カラムの検討、HPLCの条件検討を実施し、1網膜からでもAll-trans-retinalと11-cis-retinalを鋭敏に検出できる最適な条件を見出した。 AAVベクターを用いて生直後のP23Hマウスにキメラロドプシンの遺伝子導入網膜下注射で行ったところ、仮説の通り11-cis-rertinal比率の上昇する傾向が得られた。またウェスタンブロット法により網膜小胞体ストレスの抑制効果が確認されたことより、予防メカニズムの一因として、P23Hマウスにおいて発現したオプシンが光を代償性に吸収することでAll-trans-retinalなどの毒性代謝物を減らし、相対的に11-cis-rertinalが上昇することで、ロドプシンタンパク質のミスフォールディングが改善し、小胞体ストレスが軽減していることが示唆された。 現在、再現性の確認とともにより安定して差がとれる最適な光曝露系・条件を検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているため
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらにこの評価系を用いて、その他のオプシン類及び、その他の網膜変性モデルマウスにおいても同様の反応が見られるかどうか検討実験を行う。 また、一般に末梢からのシグナルが無くなると、中枢神経は廃用性萎縮を生じることが知られているが、異所性のオプシンの発現によって、神経刺激が入り、この廃用性萎縮が抑制されている可能性を想定し、廃用性萎縮が生じるかどうか長期飼育マウスを用いた実験を実施中である。具体的には長期飼育した治療マウスの網膜内層厚、後頭葉の萎縮の評価を行う。 これによって今後、Optogenetics遺伝子治療による視覚再生だけではなく、予防効果も期待することができる可能性があり、進行抑制治療としても臨床応用の可能性も期待することができるかもしれない。
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