2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規治療薬の開発~DNaseの好中球NETs、バイオフィルム制御効果~
Project/Area Number |
21K16914
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 賢次 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70897892)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNAse / 好中球NETs / 慢性創傷 / バイオフィルム / 糖尿病性足潰瘍 / 急性創傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性創傷が慢性化する要因として、細菌のColonizationによるバイオフィルムの形成が言われている。創に一度バイオフィルムが形成すると肉眼的なデブリードマンでは完全に除去することは難しく、難治性潰瘍へ移行する可能性が出てくる。バイオフィルムの形成には炎症を誘導する好中球および好中球が放出するNETsが関わっている可能性が示唆されている。バイオフィルムを抑制することは難治性潰瘍の創傷治癒に有利に働き、これまで保存的加療が難しかった糖尿病性足潰瘍や褥瘡などの治癒促進も期待される。申請者はNETsを阻害するDNaseをマウス腹腔内に投与することで創傷治癒を促進することを実証している。今研究では、そのメカニズムおよびDNaseの有用性、さらなる新規治療へつながるかどうかの解析を行うことである。昨年度、難治性潰瘍におけるDNaseの効果を解析するため、糖尿病モデルマウスの作成を行った。マウス腹腔内にストレプトゾトシンを投与し、血糖測定を行いモデルマウスの作成を行った。糖尿病モデルマウスの作成に至ったが、DNAseを投与し、長期経過を見ている段階でマウスの死亡などが確認され、統計学的解析までは至らなかった。局所投与の影響の検証には至らなかったが、難治性潰瘍モデルとして真菌細胞壁であるα-mannanを投与したマウスにDNAseを腹腔内投与することで創傷治癒を促進することが示された。急性創傷マウスでも同様の結果が得られたため、DNAseによるNETs阻害により、創傷治癒が促進することが示され、治療薬としての可能性が示唆された。
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