2021 Fiscal Year Research-status Report
Assessment for the regulatory mechanism of osteocyte network on bone mineralization
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21K16928
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本郷 裕美 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (00778970)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 骨細胞ネットワーク / 骨基質石灰化制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は骨芽細胞が分泌する基質小胞により骨基質の石灰化が起こるだけでなく、骨細胞も積極的に骨基質石灰化の調整を行っている可能性を明らかにするために、主に動物モデルを用いたin vivo解析を中心に行った。骨細胞とは、骨芽細胞が自ら産生した骨基質中に埋め込まれた細胞のことで、骨小腔という空間に存在し、細胞突起を伸ばし骨細胞同士や骨表面に存在する骨芽細胞と互いにギャップ結合で連絡することで、骨基質中に無数に張り巡らされた細胞性ネットワーク、すなわち骨細胞・骨細管系を形成している。申請者はこれまでに骨細胞が副甲状腺ホルモン(PTH)投与あるいは授乳期において周囲の骨基質を溶解し、血中カルシウム(Ca)濃度を上昇させる骨細胞性骨溶解について詳細を明らかにしてきた。しかし、拡大された骨小腔はそのままではなく、元に戻ることが推察されたため、PTHを外頚静脈から投与後7日後、あるいは授乳中に非放射線性の44Ca・42Ca安定同位体を含んだ餌を給餌し同位体顕微鏡観察すると、骨細胞によって溶解された骨基質に44Ca・42Ca安定同位体の沈着が認められたことから、骨細胞は骨基質にカルシウム沈着を誘導することが示唆された。 また骨細胞は血中リン(Pi)濃度を低下させるFGF23や結晶性カルシウム(Ca)と結合するDMP-1を産生することで、基質石灰化および血中リン濃度調節を行っているが、糖尿病モデルであるSDT fattyラットにおいて、骨細胞が産生するDMP-1が骨小腔においては強陽性を示しているが、骨細管における陽性反応は減弱することを確認しており、糖尿病が骨細胞・骨細管系に影響を与えることで、骨基質石灰化ににも影響が出ていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者はこれまでに低Pi・低Ca食給餌をしたマウスの作製や安定同位体を給餌したマウスを用いた同位体顕微鏡観察を行ってきたため、安定して実験モデルマウスの作製を行うことができている。また飼育が難しいとされている糖尿病モデルであるSDT fatty ratを飼育し、病態が発現してくる約40週齢を超えた試料採取(N=6)をし、次年度の解析に向けて各種サンプル作製を順調に行っている。また、免疫染色に使用する抗体は、これまでに多くの実験で使用し、特異性の高い抗体を使用しているため、確実な結果が得られている。さらに試料作りに煩雑な工程と技術が必要な透過型電子顕微鏡観察は日常的に行っている観察手法であるため、研究成果を安定してあげることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
透過型電子顕微鏡(TEM)だけでなく、TEM-EDS(エネルギー分散型X線分光法)を用いて、高Pi・高Ca血症を示すkl/klマウス、および、低Pi・低Ca血症を示す低Pi・低Ca餌給餌kl/klマウスの類骨層や骨小腔・骨細管におけるPiやCaの分布を元素マッピングに解析し、さらに次世代顕微鏡STED(stimulated eission depletion)やSIM(structured illumination microscopy)を用いて、ENPP1, ALPase, Phospho1, nSmase2, Choline kinase α/β, Pit1, Ca2+-ATPaseなどのCa/Piの供給・調節に関わる酵素・膜輸送体を微細構造レベルで解析を進めていく予定である。 また、現在、サンプル作製中である糖尿病モデルであるSDT fattyラットの石灰化異常を解析するためにosteocalcin (OCN) やSIBLING family蛋白(DMP-1, osteopontin, MEPEなど)のリン酸カルシウム結合蛋白の微細局在と基質石灰化異常を未脱灰切片を用いた免疫電顕にて解析を行う予定である。
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Research Products
(11 results)