2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔生理機能の日内変動を制御するサーカディアンリズム機構の統合的解明
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21K16934
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
織田 善晃 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20735542)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サーカディアンリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類におけるサーカディアンリズムは脳視交叉上核が中枢であり、ここから全身にリズム情報が発信されている。我々は、視交叉上核神経細胞が階層的に異なる位相を示す位相波を形成することを報告している。本研究では、視交叉上核から発信されるサーカディアンリズム情報が、末梢脳部位や全身にどのように出力されているかを解明するために、マウスを用いて視交叉上核-末梢間の機能的コネクトームの探索を行う。 【機能的神経投射の解析】視交叉上核を起点とする神経伝達の阻害を行った。視交叉上核を標的とするアデノ随伴ウイルス(AAV)による遺伝子導入により行い、破傷風菌毒素であるテタヌストキシンを発現させた。テタヌストキシンの発現はドキシサイクリンより誘導されるTet on システムを用いた。AAVを視交叉上核内の局所部位へ注入することで、テタヌストキシン発現細胞を視交叉上核内の少数細胞へ発現させた。テタヌストキシンと同時にGFPを発現させる蛍光シグナルを確認することにより、実際にテタヌストキシンにより機能阻害を受けた神経細胞を特定した。 【時計中枢~末梢~個体のサーカディアンリズム解析】視交叉上核と末梢部位におけるサーカディアンリズム位相の観察をおこなった。ホタルルシフェラーゼを導入した発光レポーターマウスを使用し、摘出サンプルを用いて長期的な発光計測を行った。個体レベルのサーカディアンリズム位相の観察は輪回し行動リズムの測定により行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【時計中枢~末梢~個体のサーカディアンリズム解析】時計遺伝子Cry1欠損、Cry2欠損マウスについて、視交叉上核、下垂体、輪回し行動のサーカディアンリズム解析を行った。野生型と比較して、Cry1欠損、Cry2欠損マウスはそれぞれ短縮、延長行動リズムを示した。視交叉上核および下垂体のサーカディアンリズムは同様の周期変化を示した。Cry1ヘテロ欠損型マウスが、野生型と同等のサーカディアン周期性を示すのに対し、Cry2ヘテロ欠損型マウスはサーカディアン周期の延長を示した。Cry1におけるヘテロ欠損型の機能補償性とCry2におけるハプロ不全が明らかになった。 以上の結果を研究成果としてまとめ、論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
【神経コネクトーム解析】視交叉上核の時空間的神経核構成が神経投射を介して末梢部位へリズム情報を発信していることを確認する。視交叉上核から脳各部位への神経投射を探索し、リズム情報の出力経路のマッピングを行う。視交叉上核に順行性トレーサーを局所注入し視交叉上核外へ投射する神経構造を探索する。一方で逆行性トレーサーを視交叉上核外の脳部位へ局所的に適用し、相互的な神経回路構造を特定する。視床下部-下垂体-副腎-軸、および、視床下部-下垂体-性腺-軸を標的とする。
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Causes of Carryover |
2021年度は予定していた研究出張が制限され、人件費・謝金にも残額が生じた。次年度使用額として、2022年度の人件費・謝金に充当して研究の推進をはかるとともに、その他として研究成果発表(論文掲載費用)に充てる。
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