2022 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌のΔNp63βを介したEMTにおけるmiR-205の機能について
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21K16949
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋口 有真 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (80805268)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | OSCC / EMT / miRNA / miR-205 / ZEB |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の浸潤・転移には、上皮-間葉転換(EMT)が関与していることが明らかとなってきた。これまでにわれわれは、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞において、p53のホモログであるΔNp63のスプライシングバリアントであるΔNp63βが、EMTの誘導に関与していることを示し誌上報告を行っている。しかし、その詳細な分子機構は未だ不明であったが、その分子メカニズムの検索過程においてmiRNAが重要な役割を担うことを導き、OSCC細胞株において、ΔNp63を発現していない高転移株SQUU-B細胞に対して、ΔNp63βベクターを導入した強制発現株SQUU-BO細胞と、コントロールとして空ベクターを導入したSQUU-BC細胞の2つを用いてmiRNAマイクロアレイ解析を行い、ΔNp63を強制発現させた際に最も発現に変動を認めたmiR-205について着目した。miR-205がΔNp63βを介したEMTにどのように関与するのかOSCCにおける発現と機能を検討し、miR-205がZEB1およびZEB2の発現を直接的に調節することで、OSCC細胞の遊走能・浸潤能に影響を与えていることを明らかにした。さらに、ZEB1・2以外の標的遺伝子が関与したΔNp63βを介したEMTについても解析していくために、miR-205の相同する塩基配列からTargetScan(version7.2)というツールを用いることで、594の遺伝子を候補として挙げた。これまでにわれわれは、SQUU-BO細胞・SQUU-BC細胞の2つを用いたDNAマイクロアレイ解析も行っており、ΔNp63βの強制発現に伴って変動した遺伝子の中で、さきほどのmiR-205の標的となる候補遺伝子と合致するものをピックアップした。その結果、ZEB1・2以外にも、BMPERなど26の遺伝子がそれに該当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
miR-205がΔNp63βを介したEMTに関与するために標的とする候補遺伝子をピックアップしているが、まだその発現解析には至っていないため、計画よりも遅れをとっている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、ΔNp63βを介したEMTに関連するmiR-205の標的遺伝子として、ZEB1およびZEB2以外にも重要な鍵となりそうな遺伝子をピックアップしたため、その発現解析等を進めていく。
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Causes of Carryover |
現地参加ではなくオンラインでの学会参加となったものがあり、予定費用よりも使用額が少なくなったため。 また、研究に関わる書籍の購入などを予定していたが、今年度は購入しなかったため。
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