2022 Fiscal Year Research-status Report
薬剤関連顎骨壊死を解明する-高感度量子ビームを用いた挑戦
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21K16955
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
田村 知子 東京医科大学, 医学部, 病院助教 (00790643)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | MRONJ / ビスホスホネート製剤 / デノスマブ / 微量元素分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の骨転移や骨粗鬆症の治療薬として使用されているビスホスホネート(BP)製剤や抗ランクル抗体製剤は、それらの治療において有効な薬剤であるが、その一方で顎骨壊死(MRONJ)が問題となっている。2003年にMARXらによって報告されて以来、およそ20年の月日が経過するも依然として臨床現場では重要な問題となっている。 口腔内細菌感染や免疫抑制などがその発生に関与している可能性が指摘されているものの、発症機序については明らかになっておらず、予防法も確立していない。薬剤機序の異なるBP製剤と抗ランクル抗体製剤の両者において発生していることが本病態の理解を困難にしているとも考えられる。 本研究では、放射光蛍光X線分析、X線回折測定、赤外分光分析など分析化学的アプローチにより、MRONJ発症骨の特徴や骨内のBP製剤の局在を調査し、MRONJ発症過程におけるBP製剤の顎骨への蓄積、骨の微細構造変化および微量成分変化の点からMRONJの発症機構に関わる知見を得ることを目的としている。併せて、使用される薬剤の種類毎のMRONJ発症頻度や、MRONJの病期、投薬期間や他剤内服歴などの臨床情報も収集しながら検索をすすめていく。 今回、抗ランクル抗体製剤(ランマーク)使用によるMRONJにおいて臨床的に予後不良な経過を辿ることが明らかとなり、今後は他のBP製剤とランマークとの比較によりMRONJの発症機序を明らかにしてく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床と大学教育に時間を大幅に取られ、研究に費やす時間を十分に獲得できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
試料数をさらに増加させることに加え、全国の放射光施設使用に申請し、分析を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は研究試料の収集や臨床情報の収集のみであったため、測定に際して必要な試料作製費や研究旅費等の研究費の使用機会が生じなかった。次年度の測定のための研究旅費や試料作製費として使用する予定である。
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