2021 Fiscal Year Research-status Report
KLF5遺伝子発現抑制機構の解明と癌細胞分化との関連性の探究
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21K16957
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
冨山 希美 (美原希美) 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (00803264)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔癌 / KLF5 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Kruppel-like factor(KLF)5は上皮細胞の分化抑制に重要な転写因子であり、上皮性悪性腫瘍で過剰に発現する。口腔癌細胞にKLF5を過剰発現させると細胞の分化形質が阻害されることから、KLF5は癌細胞を脱分化させ、癌進行における重要な因子であると考えられる。本研究では、癌の悪性形質獲得に関わるKLF5遺伝子の抑制的な発現制御機構に着目し、「①KLF5遺伝子の発現抑制機構」と、「②癌細胞分化とKLF5の発現制御との関係性」の2点を明確にしたい。 これまでに申請者はヒトKLF5遺伝子の発現に不可欠な最小必要領域(minimal essential region、MER)とそれに直接関与する転写因子がSp3であることを明らかにした。また、KLF5遺伝子から遠位にあるDNA領域にKLF5発現を抑制するサイレンサー領域が存在し、そこへのCREBの結合がKLF5遺伝子の発現抑制に重要であるデータを得た。そこで、①、②を解明するために以下の通りに研究を進め、結果を得た。 ①MER-サイレンサー領域間のインタラクトを解析するためにChromosome conformation capture(3C)アッセイを行ったところ、MERとサイレンサー領域はインタラクトしており、さらに、3C on ChIPアッセイによってMER-サイレンサー領域間にはCREBが介在することが明らかになった。しかしながら、Sp3の介在は検出されなかった。 ②細胞を分化もしくは脱分化誘導させ、内在性KLF5、分化マーカー、脱分化マーカーの発現をそれぞれ解析することで、KLF5遺伝子の発現と細胞分化との関係性を明らかにする。そのためのCa(-)培地、Ca(+)培地を用いての細胞分化・分化誘導条件を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画通り、MER-サイレンサー領域間のインタラクトを解析することはできたが、MER-サイレンサー領域間を介在する複合体解析まで至らなかった。これは、各実験での条件検討に時間を要してしまったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
計画とは前後してしまったが、次年度実施予定の「細胞分化・脱分化誘導条件設定」は完了したため、その後に予定している実験と平行して、MER-サイレンサー領域間を介在する複合体解析を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)