2022 Fiscal Year Annual Research Report
アルギナーゼ1から展開するシェーグレン症候群ドライ症状治療の新戦略
Project/Area Number |
21K16958
|
Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
大野 雄太 朝日大学, 歯学部, 講師 (30796644)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 外分泌 / シェーグレン症候群 / 灌流実験 / アルギナーゼ1 |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレン症候群は、涙や唾液の分泌が低下しドライアイやドライマウスを引き起こす難病である。これまで、涙や唾液を分泌する臓器である涙腺や唾液腺に慢性炎症が生じることで、涙液・唾液分泌が低下すると考えられてきた。しかし治療薬は未だ対症療法に限られ、炎症の観点のみでは病態の全てを説明することができない。申請者は、過去の研究により代謝酵素であるアルギナーゼ1の活性・発現低下が涙液分泌を低下させることを報告した。また、2021年度までにアルギナーゼ1を軸とした涙腺におけるメタボローム解析とアルギナーゼ1研究の唾液腺研究への拡大を行い、アルギナーゼ1阻害薬による涙腺における代謝物の変動と唾液腺でのアルギナーゼ1の発現を確認した。 2022年度はアルギナーゼ1の外分泌線の役割について臓器レベルでの検証を行った。まず、マウスから摘出した顎下腺の動脈を灌流装置につなぎ、カルバコール刺激による唾液分泌を行う、マウス顎下腺灌流技術の習得と研究室への導入を行った。次に、アルギナーゼ1阻害薬を予め投与したマウスから摘出した顎下腺の灌流実験を行ったところ、アルギナーゼ1阻害薬を予め投与した群は溶媒投与群と比較して唾液分泌流速が減少した。一方で、無処置のマウスから摘出した顎下腺を灌流装置に繋ぎ、カルバコールによる唾液分泌が開始した後にアルギナーゼ1阻害薬を灌流液中に添加しても唾液分泌流速は変化しなかった。 更なる検証が必要ではあるが、上記の結果からアルギナーゼ1阻害薬自身は直接ムスカリン受容体やイオンチャネルに作用せず、一方でアルギナーゼ1阻害薬が唾液腺腺房細胞もしくは導管細胞内の代謝物濃度を変化させたことで水輸送の減少を引き起こす可能性が考えられた。
|