2022 Fiscal Year Research-status Report
最小限の根管形成・狭窄根管での根管治療を確立するためのLAI応用による総合的解析
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21K16964
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高野 晃 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50880209)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Endodontics / LAI / Er:YAG laser / root canal irrigation / PUI / SEM / PIPS / cleaning efficacy |
Outline of Annual Research Achievements |
歯牙の長期生存を多くの患者が望んでいるが、現在でも歯根破折により歯牙の抜去が余儀なくされることは少なくない。歯根破折の原因はさまざまあるが、根管治療時の歯質削除量の影響も報告されている。根管治療時の歯質の削除量は感染歯質の量に左右されるが、根管洗浄時の洗浄液が隅々まで行き届けば歯質の削除量を少なくでき、結果的に歯根破折への抵抗性が増すと考えられていている。我々は根管洗浄において、Er:YAGレーザーを応用した根管洗浄、LAI(Laser-activated irrigation)に着目し、最小限の根管形成での根管治療を確立するためのLAI応用時の清掃効率の評価を行うこととした。 本年度は、最小限の根管形成を行ったヒト抜去歯を用い、LAI、超音波洗浄、シリンジ洗浄による清掃効果を評価した。LAIは、通法のLAIに加え、根尖から離れた位置でLAIを作用させるPIPS(photon induced photoacoustic streaming)群も加えた。根管洗浄後、試料を歯軸方向に分割し、作業長-1から-12mmまで1mmごとに走査電子顕微鏡にて根管壁を撮影した。2名の評価者により、Hulsmannらのスコア分類に準じ清掃性を評価した。すべての位置でPIPS群は他の全群と比較して有意に清掃性が高かった。本研究結果から、歯質切削量を抑制して形成された根管に対して、PIPSによるLAIは従来の洗浄方法よりも有用であることが示唆された。過去の報告よりPIPSによるLAIは、歯髄腔からの照射でも根尖付近に至る清掃性が示されている。 LAIは歯根破折の抵抗性を守りつつ、根管を従来の方法よりも清掃できることを示した。これは最小限の根管形成が行われた環境下での根管治療を確立をする一歩となった。革新的ではあるが、生体への安全性も慎重に検討しなければならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細い根管での根管治療法の確立の一歩となったため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
PIPSの効果が期待できそうであった。今後はPIPSを様々な根管に応用し、LAI時の蒸気泡挙動や安全性を検討することで臨床応用に近づけると考える。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で海外を含めた学会出張がなくなった事や円安、価格上昇、および半導体不足により物品購入計画を再検討したため。
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Research Products
(2 results)