2021 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者の歯周病病態変化に対する阻害機構の解明と新たな治療法の確立
Project/Area Number |
21K16979
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
丸山 昂介 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (60756930)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 歯周組織 / ヒト歯周組織由来血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒト歯周組織由来血管内皮細胞を用いて糖尿病罹患患者における歯周病の病理病態変化に対する阻害機構を解明し、レーザー治療による歯周組織の生理活性を解明することである。第一の研究として、ヒト歯周組織由来血管内皮細胞を高血糖条件下で培養した際の病理・病態変化について検討を行った。ヒト歯周組織由来血管内皮細胞をグルコースを添加した専用培地にて培養し、細胞増殖・管腔形成・アポトーシス・炎症性サイトカインについて検討を行った。グルコース濃度は5.5mM、11.0mM、22.0mMに設定した。細胞増殖の結果では、グルコース濃度が高くなるにつれ、経時的に細胞増殖が抑制される結果となった。血管内皮細胞の管腔形成の維持に関しては、5.5mM条件で培養したヒト歯周組織血管内皮細胞は、24時間経過しても管腔の維持を認めた。一方、糖尿病とされる11.0mM、22.0mMで培養したヒト歯周組織血管内皮細胞は、24時間前に管腔の崩壊を認めた。また、各グルコース条件下で短期間培養されたヒト歯周組織血管内皮細胞は、アポトーシス陽性細胞の割合に有意差を認めなかった。しかし、長期間培養した場合、高グルコース条件で培養されたヒト歯周組織血管内皮細胞は優位にアポトーシス陽性細胞の割合が増加した。加えて、炎症性サイトカイン(ICAM-1、VCAM-1)の検討においても、高グルコース条件で培養されたヒト歯周組織血管内皮細胞は、炎症性サイトカインの発現量が有意に高かった。以上の結果より、グルコースを曝露されたヒト歯周組織血管内皮細胞は、細胞増殖能が低下し、炎症反応を誘発するサイトカインを発現させていることが明らかとなった。このことは、糖尿病に罹患した人の歯周組織は、生理活性が低下し、炎症をより促進させる環境になっていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床株で行なっているため、条件に合致する検体確保するのに苦労をしている。そのため、ヒト歯周組織由来血管内皮細胞を研究に必要な細胞数まで培養するのに時間を有してしまい、研究に遅れが生じている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床株を用いて研究を進めることが一番であるため、臨床株の確保を引き続き行なっていく。臨床株の確保が困難である場合は、株化されたヒト歯周組織線維芽細胞からヒト歯周組織由来血管内皮細胞を分離・獲得する。株化されたヒト歯周組織線維芽細胞から、血管内皮細胞を分離・獲得できることは確認済みである。
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Causes of Carryover |
当初予定していた検体数を確保できなかったため、今年度は、計画していた測定用試薬を購入してない。そのため、差額が発生している。次年度は、当初計画している研究と今年度実施予定であった検討項目を合わせて進める予定である。そのため、今年度発生した差額分を次年度に合わせて使用する。
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