2021 Fiscal Year Research-status Report
組織再生能と抗炎症作用を併せもつ天然由来物質を用いた新規歯周治療薬の開発
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21K16982
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
今井 一貴 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (30878624)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 天然由来物質 / 抗炎症作用 / 組織再生 / 新規歯周治療薬 / Shikonin |
Outline of Annual Research Achievements |
薬用植物の紫根(しこん)の有効成分である Shikoninは古来より抗炎症作用や抗菌作用を有し,創傷治癒に有用な薬用植物と報告されている。とくに皮膚や粘膜などの軟組織の治癒に有効であるとされ,皮膚科や形成外科で臨床応用されている物質である。 Shikoninの多彩な薬効と強力な軟組織治癒能力に着目し,歯周外科治療後の創傷治癒促進に応用できるのではないかと考えた。申請者は,ヒト歯肉線維芽細胞(hGF)を用いて歯周組織の創傷治癒に及ぼす影響を検討したところ,Shikonin は細胞増殖,遊走能およびコラーゲン産生などを促進することを発見した。 本研究ではShikoninがヒト歯肉上皮細胞(epi4)に対しての影響を検討することとした。epi4を各種濃度のShikonin(0.001,0.01,0.1,1,および10uM)で培養し細胞増殖,遊走を評価した。抗炎症作用を調べるために,ヒトリコンビナントIL - 1にて炎症状態を惹起しShikoninの抗炎症作用をELISA法とリアルタイムPCR法を用い炎症性サイトカインIL-6およびIL-8の発現を調べた。Shikoninの炎症抑制効果を確認するために, ERKのリン酸化についてWestern Blotting法を用いて評価した。 0.01 uM のShikonin はepi4の増殖と遊走を有意に促進し,10uMのShikoninによって細胞毒性を誘導した。また、Shikoninはepi4に対し細胞増殖能と遊走能を示しepi4をIL-1にて刺激後Shikoninで処理するとIL-6およびIL-8の発現を抑制し, ERKのリン酸化を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in-vitroの結果が出つつあり、現在ヒト歯肉上皮細胞の創傷治癒が認められつつある。過去にヒト歯肉線維芽細胞については創傷治癒を促進するという結果が認められており、in-vivoへ移行する条件が揃いつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はin-vitroの結果をまとめ報告し、論文作成を行う予定である。また、in-vivoの検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
in-vivo研究へ移行予定であったが、コロナ禍による研究資材の納入遅延など予定よりin-vitroのみの検討となっていたため。
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