2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K16988
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
米倉 和秀 徳島大学, 病院, 助教 (90881540)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テラヘルツパルス(THz)波 / イメージング / う蝕 / 直接法コンポジットレジン修復 / 間接法コンポジットレジン修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、歯科保存修復学では、治療チェアサイドでの近赤外光スペクトルを用いたOCT(Optical Coherence Tomography ; 光干渉断層計)を用いた非破壊観察手法が臨床実用化し、肉眼ではみつけられない初期う蝕診断および修復物内部適合性評価に応用されている。しかし、OCTには深さ方向への観察に限界が存在するなど,その他の非破壊イメージング法の検討も必要であると考えられる。近年、電波の透過性と光の直進性を併せ持つ電波と光の境界に位置するテラヘルツパルス(THz)波を使った非破壊内部観察手法が医療、セキュリティ、工業の分野で実用化され,歯学においてもその応用が期待されている。本研究の目的はOCT観察不可能領域まで侵入するテラヘルツパルス(THz)波を用いた新しい歯科用イメージング技術を開発し、深在性窩洞における非侵襲かつリアルタイムでの3次元的な立体画像構築を実現すること、およびその 臨床応用によって、歯疾患の診断のみならず、診療の術中における処置の確認や接着修復の 長期予後を脅かす重大な異常事象を検出する早期保全を実現することである。 本年度はTHz波を用いたイメージング法の歯科保存修復学領域への応用可能性の検討を行うことを目的として、THz分光装置を用いてヒト抜去歯のう蝕,直接法コンポジットレジン修復歯,レジンセメントを用いた間接法コンポジットレジン修復歯の構造や化学的特性を解析することで非破壊観察が可能か検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1研究段階として、THz分光装置を用いてヒト抜去歯のう蝕、直接法コンポジットレジン修復歯、レジンセメントを用いた間接法コンポジットレジン修復歯の切片に対して観察を行い、対処物の構造や化学特性が画像精度に与える影響について、OCT(Optical Coherence Tomography)イメージングと比較しながら研究計画に基づいて調査検討している。テラヘルツ波のビームを対象物に集光して、焦点を機械的に走査しながら透過強度を計測することで、全体のイメージを取得しているため、計測に長時間を要するということもあり改良が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きTHz波をヒト抜去やコンポジットレジン、歯科用セラミックスなどの修復材料 に用いた場合の光学的特性や画像精度を検討して屈曲率などの違いが画像精度に与える影響を検討する。さらにTHz波を物質に照射すると、その物質固有のスペクトル(これを“指紋 スペクトル”と言う)を有する透過/反射波が得られるという特性から、歯質や修復材料の 指紋スペクトルをデータベース化することでTHz波を歯科用に最適化を行う。 THz波の最適化後、抜去歯やin vitroで作成した修復物などを用いてう蝕の深さや修復物内部 について非侵襲断層診査ならびに立体画像構築についてOCTのみならず、TMR、CLSM、 TEM、SEMなどの検査結果と照合しながら相対的な診査を行う。さらには、リアルタイムのイメージング、システムの小型化、立体画像の構築化など臨床応用に向けた、イメージング法の改良を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)本年度の研究に必要な消耗品が予定より少額で賄えたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度は、研究成果発表のため消耗品が多く必要になると予想されるため、次年度研究費(物品費)とあわせて使用する計画である。
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