2021 Fiscal Year Research-status Report
in situモデルを用いたデンタルバイオフィルムと歯肉上皮の共生機構の解明
Project/Area Number |
21K16990
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
外園 真規 新潟大学, 医歯学総合研究科, 助教 (00876675)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デンタルバイオフィルム / 歯肉上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内には様々な細菌が生息しており、これらの細菌が歯面に形成するデンタルバイオフィルムはう蝕や歯周病の主な要因であると考えられている。 しかし、う蝕や歯周病はその他の感染症と異なり、生命を脅かす重篤な症状とならず、口腔はデンタルバイオフィルムに対して免疫応答しながら上皮バリアを機能させていると考えられる。令和3年度は、まずデンタルバイオフィルムと歯肉上皮細胞の共培養のためのモデルの確立およびその特徴についての解析を行うこととした。 令和3年度に行っていた実験モデルでは、上皮細胞は単層であり、ヒト歯肉を模倣しているとはいえないため、今後の研究ではよりヒト歯肉に近づけるため、歯肉線維芽細胞株および歯肉上皮細胞株といった複数の細胞株を用いた歯肉モデルを作成することを予定している。 新型コロナウイルス感染症のまん延により、被験者からデンタルバイオフィルムを採取することやin situデンタルバイオフィルムモデルを被験者に装着して実験的バイオフィルムを作成することは困難であったため、まず唾液由来の細菌からバイオフィルムを作成し、細胞の発育条件下で歯肉上皮細胞との共培養を行った。その結果、細菌の生菌数の減少は認められないことが分かった。細菌叢の変化も今後検索する必要があると考えられるため、今後の課題としている。 本申請研究は、デンタルバイオフィルムと生体の共生のメカニズムを理解するために、バイオフィルムと歯肉上皮細胞の両面から解析を行うことを目的としている。最終的には、健常者から採取したデンタルバイオフィルムと新たに開発予定の歯肉モデルをを組み合わせて培養し、それぞれの反応を解析することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症のまん延のため、被験者からデンタルバイオフィルムを採取したり、in situデンタルバイオフィルムモデルを用いて口腔内で実験的デンタルバイオフィルムを作製することが難しかったため、歯肉モデルの開発を先行して行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
よりヒト歯肉に近い新たな歯肉上皮モデルを確立し、実験的デンタルバイオフィルムとの共培養を行い、バイオフィルム(細菌)と細胞(宿主)のそれぞれの側面から解析を行う。 具体的には、バイオフィルム(細菌)に関しては生菌数および総菌数測定、リアルタイムPCRによる遺伝子発現、共焦点レーザー顕微鏡観察による三次元的構造解析、16SrRNAシーケンスによる細菌叢解析を予定している。 細胞(宿主)に関しては、組織学的解析、遺伝子発現解析を行う。
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