2022 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠成立に及ぼす歯周組織の感染と炎症の影響:機序解明に向けた基礎的検討
Project/Area Number |
21K16992
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐光 秀文 岡山大学, 大学病院, 医員 (10866495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周病 / 不妊 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の晩婚化に伴い、不妊治療を希望する患者数が増加している。不妊の要因として、年齢や男女の生殖機能の異常等が挙げられるが原因がはっきりとしないケース(原因不明不妊症)も存在する。最近、口腔疾患である歯周病の原因細菌(Porphyromonas gingivalis等;以下Pg)の感染、そして、歯周組織に惹起された炎症が妊娠の成立に悪影響を与える可能性が報告され、不妊の新たなリスクファクターとしての歯周病の可能性が提唱されはじめている。しかし、不妊と歯周疾患の関連性を検討した基礎研究報告はほとんどなく、そのメカニズムは未だ不明な点が多い。本研究では、Pg感染絹糸結紮歯周炎マウスモデルを用いて、不妊のメカニズムに歯周感染・炎症が及ぼす影響を免疫学的視点から検討した。そして、歯周感染・炎症の制御が原因不明不妊の病態を改善する可能性を検証した。 研究1年目は歯周炎マウスモデルを用いて、出産数、新生児マウス体重、妊娠期間を比較した。2年目は、妊娠前の子宮を中心に免疫組織学的解析、分子生物学的検討を行なった。本研究の成果として、歯周炎マウスでは、1)新生児出産数の減少、2)不妊母体数の上昇、3)新生児体重の減少、4) 妊娠前子宮組織の肥大化、5)子宮組織の性ホルモン受容体の発現が変動することを確認した。以上の結果から、歯周感染・炎症が子宮に変化を惹起し、不妊を誘発する可能性が示唆された。今後は、歯周感染及び炎症が子宮に及ぼす悪影響の検討をさらに行っていくことが重要であると考える。
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