2021 Fiscal Year Research-status Report
大規模歯周組織欠損の再生を目指した神経堤細胞由来骨/軟骨複合型オルガノイドの創成
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21K16993
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本池 総太 京都大学, iPS細胞研究所, 特別研究員(PD) (80881292)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軟骨内骨化 / 歯周組織再生 / 神経堤細胞 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、骨/歯周組織欠損を効果的に再生することのできる移植体として、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)と細胞自身が産生する細胞外基質(ECM)からなる、直径1mm程の3次元細胞集塊C-MSCsを樹立していた。さらに、C-MSCsのECM硬さを制御することで、YAP/TAZメカノシグナルを介した骨分化が亢進することを見出し、これを応用した硬さ制御ゲル包埋培養により、生体外で膜性骨化を再現することを着想した。そして、生体外においてミネラルの沈着した骨基質と骨形成細胞からなる骨オルガノイドを樹立し、免疫不全マウス頭蓋冠欠損に移植することで、膜性骨化様式によって骨再生を促進することを見出した。 しかし、大規模な歯周組織破壊では、欠損部が低栄養状態に陥り、骨オルガノイドの機能が十分に発揮されない可能性がある。そこで、血管新生を促し、低栄養状態に強い骨化様式である軟骨内骨化に着目した。 本研究では、顎骨の発生を担う神経堤細胞由来間葉系幹細胞に軟骨誘導と骨オルガノイド作製技術を併用することで、移植先で軟骨内骨化を誘導する骨/軟骨複合型オルガノイドを樹立し、大規模骨/歯周組織再生を達成することを目的とした。 研究初年度である本年度には、骨髄由来MSCsから作製したC-MSCsを硬さ調整したゲルに包埋し、軟骨分化誘導・骨分化誘導を施すことで、石灰化基質に肥大軟骨様細胞・骨形成細胞様細胞を内包する骨/軟骨複合体を作製することに成功した。また、ヒトiPS細胞由来神経堤細胞(iNCC)から誘導したMSCs(iNCC-MSCs)を用いてC-MSCsを作製(C-iNCC-MSCs)し、軟骨分化誘導培地での培養によって、効率的に軟骨形成を誘導することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、顎骨の発生を担う神経堤細胞由来間葉系幹細胞に軟骨誘導と骨オルガノイド作製技術を併用することで、移植先で軟骨内骨化を誘導する骨/軟骨複合型オルガノイドを樹立し、大規模骨/歯周組織再生を達成することである。 本研究の基軸となる骨/軟骨複合型オルガノイドについて、骨髄由来MSCsからC-MSCsを経た誘導法によって、一定の複合組織様構造を形成することに成功している。このことは、iNCC-MSCs由来の骨/軟骨複合型オルガノイドの樹立に向けて良好な結果であったといえる。また、C-iNCC-MSCsから軟骨形成を誘導することにも成功しており、現在、ゲル包埋培養と骨分化誘導培地との組み合わせによって骨/軟骨複合型オルガノイドが作製できるか検討する段階にある。これは当初予定していた通りの進歩状況であり、本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度の成果をもとに、C-iNCC-MSCsから骨/軟骨複合型オルガノイドへの誘導条件を確立する。 骨/軟骨複合型オルガノイドの歯周組織再生効果の検討のため、既存の歯周組織再生治療法では再生困難とされる1壁性骨欠損モデルへの移植実験を行う。また、骨/軟骨複合型オルガノイドの骨形成過程が軟骨内骨化の様式を経ているかを確認するため、経時的に軟骨基質/骨基質の割合と血管新生の程度(CD31による免疫染色)を評価する。
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