2021 Fiscal Year Research-status Report
象牙芽細胞分化に関与する因子を標的とした新規直接覆髄材料の開発
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21K16995
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤野 翔香 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員 (60883832)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チロシン水酸化酵素 / 直接覆髄材料 / 象牙芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Tyrosine Hydroxylase(TH)が、骨芽細胞にはほとんど発現が認められないが、前象牙芽細胞および象牙芽細胞に強く発現することに着目して、THが骨芽細胞ではなく、象牙芽細胞への分化誘導において重要な働きを担う因子であることを解明し、さらにその因子を用いて本来の象牙質と同様の象牙細管構造を有した、緻密な修復象牙質形成を促す直接覆髄材料の開発を目的とした。本年度は、歯髄幹細胞のマーカーとして報告のあるCD146を発現する細胞を磁気細胞分離装置にて単離した後、単離した細胞の幹細胞特性について確認し、さらに、レンチウイルスを用いて、THが高発現する歯髄幹細胞を作製した。作製した細胞を象牙芽細胞誘導培地にて培養し、象牙芽細胞への分化能をRT-PCR法、Western Blotting法ならびに免疫細胞化学的染色法を用いて検討した。その結果、THを歯髄幹細胞に高発現させることで、象牙芽細胞への分化能が促進することが明らかとなった。さらに、si-THRNAを用いた発現抑制実験を行ったところ、象牙芽細胞への分化能が抑制された。以上のことから、THは象牙芽細胞分化に関与していることが示唆された。今後は、THが高発現した細胞を免疫不全マウス背面皮下に、足場材であるアテロコラーゲンとともに移植し、象牙細管構造をもつ象牙質の形成について評価を行い、さらに、THの発現を促進する低分子化合物を合成して、それを応用した理想的な修復象牙質形成を可能にする新規直接覆髄材料の開発を行うことを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
THを歯髄幹細胞に高発現させることで、象牙芽細胞への分化能が促進し、さらにsi-THRNAを用いた発現抑制実験を行ったところ、象牙芽細胞への分化能が抑制された。以上のことから、THは象牙芽細胞分化に関与していることが示唆され、当初の予定に即した成果が得られていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
THが高発現した歯髄幹細胞を免疫不全マウス背面皮下に、足場材であるアテロコラーゲンとともに移植し、象牙細管構造をもつ象牙質の形成について評価を行い、さらに、THの発現を促進する低分子化合物を合成して、それを応用した理想的な修復象牙質形成を可能にする新規直接覆髄材料の開発を行うことを目的とする。
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Causes of Carryover |
昨年度予定していた、生体内での細胞の機能解析が遅れており、免疫不全動物および足場材の購入ができていない状態である。今後、生体内での機能解析のため、免疫不全動物および足場材の購入を行う予定である。
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Research Products
(1 results)