2023 Fiscal Year Research-status Report
歯科ナローインプラント応用を目的とした結晶粒超微細化によるチタン合金の高強度化
Project/Area Number |
21K17007
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
蘆田 茉希 成蹊大学, 理工学部, 助教 (50708386)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生体材料 / チタン合金 / 巨大ひずみ加工 / 結晶粒微細化 / 歯科インプラント / 高圧すべり加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高圧すべり(HPS)加工をチタン合金に適用し、高強度化を目指す。HPS加工は上下二つの金型と押し棒からなり、高圧下で押し棒をスライドさせることで試料にせん断ひずみを導入し、結晶粒を超微細化できる加工方法である。チタン合金(Ti-6Al-7Nb合金)にHPS加工を適用し、伸びを維持したままの高強度化を行うことを目的とする。本研究では、ナローインプラントへの応用に焦点を当て、より大きい寸法のチタン合金(Ti-6Al-7Nb合金)にHPS加工を施し、高強度化を目指す。研究内容はHPS加工条件の最適化、棒状の合金での高強度化、HPS加工後の耐食性および安全性評価の3つによって構成される。昨年度は棒状のTi-6Al-7Nb合金に一方向のHPS加工を行い、棒状での加工が可能であり高強度化できることが明らかになった。今年度も引き続き棒状のチタン合金での高強度化を目的とした。棒状試料において、往復HPS加工を施すことで機械的性質の向上が可能かどうかを調べた。 Ti-6Al-7Nb合金棒材に往復HPS加工を施し、加工が可能であることがわかった。XRD測定によって、加工前後で構成する相に変化はなかったが、加工後にはピークの広がりが大きく、半値幅が増加した。また、底面配高度を求めると、往復HPS加工によって配高度が増加したことがわかった。硬さ試験の結果、全体的に硬さが増加しており、一方向加工に比べて均一に加工ができていることが明らかになった。また引張強さは増加し、往復HPS加工によっても棒状試料で高強度化が可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ti-6Al-7Nb合金の棒状試料において往復HPS加工が可能であることがわかった。また往復HPS加工を施すことによって試料全体にひずみが導入でき、機械的性質の向上が可能であることが明らかになった。そのため、HPS加工による棒状試料のTi-6Al-7Nb合金において高強度化に成功した。この点については当初の計画どおり、進んでおり、想定通りの結果が得られているため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、往復HPS加工を適用した棒状試料のTi-6Al-7Nb合金の評価を行う。今年度までには棒状試料へ往復HPS加工が可能であり、また機械的性質の向上に成功しているが、結晶組織に関してはまだ明らかになっていない。このため、棒状試料にHPS加工を適用した場合の加工前後の結晶組織の変化を明らかにすることで、組織と機械的性質との関係性を調べる。また、耐食性についても評価を行い、加工前後での安全性について調べる。
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Causes of Carryover |
異動に伴い必要品に変更があった。また昨年度の加工試料が使用可能であったため、加工依頼を行わなかった。残額については本研究の遂行に必要な物品・消耗品の購入に充当する。
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