2022 Fiscal Year Annual Research Report
マクローマイクロ気孔が炭酸アパタイトハニカム人工骨の骨伝導・骨置換に及ぼす影響
Project/Area Number |
21K17010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳沢 俊樹 九州大学, 歯学研究院, 学術研究員 (50898103)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炭酸アパタイト骨補填材 / 炭酸アパタイトハニカム骨補填材 / 骨伝導 / 骨置換 / マクロ気孔 / マイクロ気孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
一方向の貫通孔(マクロ気孔)を有する炭酸アパタイトハニカム骨補填材は、垂直的・水平的骨造成に極めて有用であり、配向骨が形成される。しかし、ハニカム構造体隔壁部の炭酸アパタイトの骨置換には一定の時間を要する。本研究は、炭酸アパタイトハニカム骨補填材の隔壁部にマイクロ気孔を形成し、マクローマイクロ気孔が炭酸アパタイトハニカム骨補填材の骨伝導・骨置換に及ぼすシナジー効果の検討を行った。前年度は、マクロ気孔とマイクロ気孔を有する炭酸アパタイトハニカム骨補填材の作製方法の検討を行い、マクロ気孔は、100から600μmの範囲で制御し、マイクロ気孔は、脱脂による焼結温度を調整することで0.07から0.18(単位:cm3g-1)の範囲で制御した。本年度は、炭酸アパタイトハニカム骨補填材のマイクロ気孔が強度と骨伝導・骨置換に与える影響を明らかにし、マクローマイクロ気孔のシナジー効果を検証した。強度測定より、マイクロ気孔が増加しても圧縮強度は高水準であった(40MPa以上)。材料吸収・骨形成は、ウサギ大腿骨欠損部に試料を埋入し、4、12週のマイクロCT及び組織学的計測より評価した。マイクロ気孔が多い(0.18以上)と、破骨細胞の増加に伴い材料吸収が進行し、12週での骨形成が抑制された。0.07から0.15の範囲が骨形成に有効で、0.15では破骨細胞と骨芽細胞の相互作用により、骨伝導・骨置換が進行した。以上から、マイクロ気孔を制御することで炭酸アパタイトハニカム骨補填材の強度と骨伝導・骨置換を制御できた。また、マクロ気孔の効果を検証する為、マイクロ気孔を制御し、マクロ気孔を有するハニカム構造体と有しない構造体とを前記同様の動物実験で比較した。マクロ気孔を有するハニカム構造体は骨伝導が良好で、新生骨量も有意に高かった。以上より、骨伝導・骨置換に関してマクローマイクロ気孔のシナジー効果が検証された。
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