2021 Fiscal Year Research-status Report
純チタン粉末と付加造形法での補綴装置の製作―機械的性質、耐蝕性、造形精度の検討―
Project/Area Number |
21K17014
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
石田 祥己 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (50779923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 付加造形 / チタン / 3Dプリンター / CAD/CAM |
Outline of Annual Research Achievements |
チタンは生体親和性や耐蝕性が高いことから、補綴装置の製作に応用されており、全部金属冠として保険制度にも導入されている。その製作には主に鋳造法が用いられているが、その特有の鋳造性から作業が困難であり、術者や鋳造機によってその精度が異なる。また、CAD/CAMによる切削加工では、工具の制限から複雑な形状の製作は難しく、金属材料のロスも大きい。近年、純チタン粉末が付加造形に応用された。付加造形では工具の制限はなく、一度に複数の補綴装置を製作できるため、この技術が歯科応用されれば、チタンによる補綴装置が安定した品質で効率よく供給できる。しかし、純チタン粉末を用いた付加造形の歯科応用については未だ明らかとなっていない。 そこで本研究では、純チタン粉末を用いた付加造形による製作物の適合性や性質を明らかにすることを目的とした。鋳造用純チタンを使って鋳造した試験片の試験結果を、付加造形した製作物のものと比較することで、補綴装置の製作における付加造形技術の有用性を明らかにすることとした。 2021年度では付加造形および鋳造して製作した試験片について引張試験を実施し、鋳造した試験片と比べて、付加造形したもので有意に大きい引張強さを示すことが明らかとなった。また、造形方向によっても機械的性質が影響することが結果より示唆された。造形ステージに倒すようにデータを配置して造形したものが最も大きい引張強さを示した。造形ステージに立てるように造形したものが有意に小さい結果となったが、鋳造して製作した試験片よりは有意に大きい引張強さを示した。 今後は、機械的性質だけでなく、より詳細な機械的性質やその他の性質、また適合性を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試験片の準備に時間がかかっている。鋳造用レジンパターンを製作するために3Dプリンターを使用しているが、その調整にも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引張試験の試験片数を増やし、結果についても詳細な検討を行いたいと考えている。また、付加造形した製作物の耐食性や適合性についても明らかにしたいと考えている。なお、当該年度までの研究成果は、日本歯科理工学会などにて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
英文校正料および投稿料として使用する予定だった費用を用いなかったためである。また、COVID-19のために国際学会等に参加しなかったため、次年度使用額が生じた。 今後、論文の英文校正、投稿や学会参加のための費用として使用する予定である。
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