2021 Fiscal Year Research-status Report
自己多層化DPSCシートを用いた無血清培養システムによる新規骨再生法の開発
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21K17029
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
望月 真衣 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (90821934)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 無血清培養 / 歯髄幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 再生医療 / 硬組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞を用いた再生医療が進むなか、間葉系幹細胞の一種である歯髄幹細胞(DPSCs)は優れた幹細胞特性を有した細胞ソースであることが知られている。これまでに申請者は、無血清培養において歯髄からの幹細胞の分離と大量培養に成功した。さらに、type 1 collagenを培養皿にコーティングすることでDPSCsが活発な増殖を維持し、コラーゲンを産生して多層化しつつも、幹細胞特性と正常な核型が維持されることを明らかにした。 本研究は、無血清培養においてDPSCsが、コラーゲンを自律的に産生することで多層化するユニークな特性に着目し、異種血清や生体材料を使用することなく、自己多層化して三次元構築されたDPSCsを移植する臨床的かつ効率的な新規骨再生法の開発を目的とした研究である。 今年度の成果として、以下3点が挙げられる。①最適化された無血清培養条件下で自己多層化したDPSCsは、短期間でコラーゲン豊富な三次元構造を形成することを明らかにした。さらにその最適化DPSCsは、細胞死を回避して再現性良く自己多層化を示した。②DPSCsの自己多層化の特性を評価することにより、三次元構造を構築するメカニズムを明らかにした。③免疫不全マウスの皮下に自己多層化DPSCsと骨補填材を混合して移植し、硬組織形成能を評価したところ、自己多層化DPSCsの高い操作性により再現性良く移植実験が行え、さらに自己多層化DPSCsは大量の骨様硬組織を形成することが示された。 以上より、無血清培養下で最適化された自己多層化DPSCsの再生医療応用は、安全性、迅速性、再現性を兼ね備えた新規骨再生法として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vivo解析を中心に、研究実施計画通りに進めることができた。 無血清培養の最適化を図ることによって、DPSCsがより短期間で丈夫な三次元構造を構築する条件を設定することに成功した。さらに、フローサイトメーターによる表面抗原解析をはじめ、ウェスタンブロッティング、免疫組織染色により、最適化されたDPSCsの特性評価を行い、自己多層化のメカニズムを明らかにした。 In vitro解析では、免疫不全マウスの皮下に自己多層化DPSCsと骨補填材を混合した複合体を移植してDPSCsの硬組織形成能を組織学的に評価したところ、大量の骨様硬組織の形成を認めた。また、自己多層化したDPSCsは従来の細胞懸濁液による移植と比べ、操作性がはるかに向上したことで再現性の高い実験結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画の通り、来年度はin vivo解析およびその評価を行う。 組織学的な解析を中心に進め、あわせて形成された骨様硬組織の定量評価および硬さ試験を行う。
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Causes of Carryover |
試薬類を予定より安価で購入できたため、その端数を次年度に繰り越す。繰越額は、来年度の英文校閲費に充てる予定である。
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