2023 Fiscal Year Research-status Report
抗菌性を有する自己硬化型生体吸収性骨ペーストの創製
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21K17031
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
佐藤 平 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (80866715)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生体吸収性骨補填材 / インジェクタブル骨ペースト / 抗菌性 / 水酸アパタイト/コラーゲン / (3-グリシドキシプロピル)メトキシシラン / ゲンタマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水酸アパタイト/コラーゲン骨類似ナノ複合体(HAp/Col)と(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン (GPTMS)からなる自己硬化型インジェクタブル骨ペーストに抗菌性を付与した手術部位感染を予防する新規骨ペーストの開発とその物性評価を目的としている。また、具体的な抗菌性付与物質にゲンタマイシン硫酸塩(GNT)を選択している。 大腸菌 Escherichia coli に対するGNT担持HAp/Col-GPTMSペーストの抗菌性を阻止円形成試験により調査したところ、ペーストの物性に影響がない少量のGNT担持量でもペーストは阻止円を形成し抗菌性を示した。 さらに、抗菌性を示した条件のペーストに対して、細胞毒性試験を行なった。その結果、従来のHAp/Col-GPTMSペーストと同様に、対照として使用した細胞培養用プレートと比較してGPTMSの残存モノマーに起因する低い細胞増殖性が認められたが、いずれの条件のGNT担持量においても、GNTの担持による細胞増殖性への影響は見られなかった。本細胞毒性試験の結果に加えて、すでに調査されているGNTの半数致死量を考慮し、GNT担持による生体為害性は見られないものと予想できたことから、3Rの原則に従って動物を用いた生体適合性試験は行わないこととした。 また、昨年度までのデータに加えて、ペーストの粘性、崩壊性および圧縮強度について追加実験を行った。その結果、HAp/ColへのGNT吸着量を増やすと、粘性、非崩壊性および圧縮強度などのペーストの物理的な性質が低下する傾向があらわれた。これは、HAp/ColとGPTMSの結合により従来のHAp/Col-GPTMSペーストは硬化していたが、その結合の間にGNTが部分的に介在し、ペーストの結合が弱くなったことが原因であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験の見送りにより、実験は一通り完了したが、論文投稿に至っていないことから進捗状況を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究データを整理して学術雑誌に原著論文として投稿する。その際、査読の結果に従って必要に応じ、追加実験を行う。
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Causes of Carryover |
論文投稿が年度内に完了できなかったため、次年度使用額が生じた。 使用計画は、論文の投稿に関わる費用及び必要に応じて論文掲載に向けた追試験を行う予定である。
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