2021 Fiscal Year Research-status Report
熱拡散を応用したチタンのマルチファンクション化表面改質法の確立
Project/Area Number |
21K17032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 洋史 東北大学, 大学病院, 医員 (80876475)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チタン / チタン合金 / 熱拡散 / 表面改質 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究でチタンに対し熱拡散法を用いることでチタンの表面改質が可能であることが明らかになった。この熱拡散法を応用すれば、チタンに複数の金属を熱拡散させ複数の機能を付与することが可能と考えられる。本研究では、チタンに複数の機能を付与する表面改質法を確立させることを最終的な目的とし、チタンに拡散させる金属として鉄(耐摩耗性)と銀(抗菌性)を選択し、この2種を同時にチタンに熱拡散させることを試みる。チタンへの鉄の拡散についてはこれまでの研究において拡散層を制御する熱処理条件が明らかになっているが、チタンに銀を拡散させた研究はこれまで行われていない。そのため本年度はチタンに銀を拡散させる熱処理条件を明らかにすることを目的として研究を行った。まず先行研究として行われているバルクとしてのTi-Ag合金の機械的性質、合金相、耐食性についての文献検索を行い、熱拡散により形成するTi-Agの組成について検討した。次いで拡散させる銀のチタンへの付着方法について実験を行った。チタンへの鉄の付着は電気的なめっきにより行っていたが、銀を付着させる際は電気的なめっきではチタン表面に形成された酸化被膜の除去が難しく、チタンと銀の間に酸化被膜が残存してしまうという課題が生じた。酸化被膜が残存したまま熱拡散処理を行うと、合金相に酸素原子が拡散し、純粋なTi-Ag合金の拡散層を得ることができない。試行錯誤を重ねた結果、蒸着法により酸化被膜を介さずにチタンに銀を付着させることに成功した。蒸着法ではめっき法と比較し、元素が均等に付着させることが可能であり、またチタンを鏡面研磨した状態で銀を付着させることができるという利点があることも分かった。今後この試料を用い熱拡散処理を行い、銀拡散層の構造や性質を調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チタンへ銀を付着させる段階において、これまで鉄の拡散で行ってきた電解めっき法が、銀の拡散では応用できないことが分かった。新たな付着方法を確立するための実験に時間を要したため、予定していた計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
熱処理時間、熱処理温度を変えながら銀のチタンへの熱拡散を行う。得られた資料に対し構造解析、バイオフィルム形成試験、殺菌試験等を行い、最適な抗菌性を有する熱処理条件を調べる。その結果を応用し、チタンに対し、鉄、銀の2種類の元素拡散させ、チタンに部位特異的に耐摩耗性と抗菌性を付与することを試みる。
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Causes of Carryover |
研究の遅れにより、令和3年度に使用する予定であった物品の購入が一部行われなかったため。COVID-19感染拡大により、参加予定であった学会への参加が見送られた、またリモート参加となり、交通費や宿泊費の計上がなくなったため。
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