2023 Fiscal Year Annual Research Report
疾患モデル動物を用いた「サルコペニアの摂食嚥下障害」の生理学的検証
Project/Area Number |
21K17034
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
那小屋 公太 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10806491)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COPD / 嚥下 / 筋電図記録 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は本邦において約530万人が罹患していると言われており、高齢化に伴いさらに罹患者数が増加すると考えられている呼吸器疾患である。COPDの主症状として、労作時呼吸困難や慢性の咳、痰が知られているが、嚥下機能低下を伴う場合が多く、その特徴は呼吸と嚥下の不調和、咽頭残留、嚥下反射惹起遅延、喉頭挙上不良など多岐にわたっている。しかし、嚥下機能低下を伴うCOPDの臨床報告は多数存在するが、実際、COPDが嚥下動態へ及ぼす生理学的影響についてはよくわかっていない。申請者らは過去にCOPDモデルラットを作成し、COPD罹患による呼吸および嚥下動態の変化を検証した。その結果、COPD罹患は呼吸動態に変化をもたらし、吸気中の嚥下反射惹起の頻度を高めるということがわかった。また、罹患期間が長期になると嚥下関連筋活動が変化することもわかった。今回、中枢の呼吸回路に依存し、嚥下に先立つ短い吸気のことを示す、Schluckatmung(小吸気)に関して、コントロールラットと比較検討を行った。その結果、COPDモデルラットでは、Schluckatmung(小吸気)を認めるもののその頻度はわずかであり、COPD罹患により有意な増加を示さなかった。また、コントロールラットではSchluckatmung(小吸気)を一度も認めなかった。以上より、COPD罹患による末梢性の変化は、その重症度にもよるが、呼吸中枢を変調するまでに至らない可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)