2022 Fiscal Year Research-status Report
加齢による変形性顎関節症を引き起こす細胞内輸送を制御するシグナル伝達経路の解明
Project/Area Number |
21K17035
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北見 恩美 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (00834772)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顎関節 / 老化 / プライマリーシリア / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
顎関節を構成する下顎頭軟骨は咬合力等の機械的負荷に対する緩衝材としての役割を持つ。しかしながら、加齢に伴い保水性、粘弾性をもつ細胞外基質プロテオグリカンの産生が減少し関節軟骨の緩衝能が劣化することが示唆されている。申請者らはこれまでプライマリーシリア(以下シリア)が下顎頭軟骨の恒常性維持 過程において細胞外基質の産生に必要であることを明らかにしている。本研究は、細胞外基質の産生減少を伴う下顎頭軟骨の老齢変化とシリアが関連しているとの仮説のもと、老齢マウスを用いてシリアを介した下顎頭軟骨の老化メカニズムを解明することを目的とし、加齢に伴うシリア発現およびシグナル伝達変化の解析を行った。 昨年度までに、加齢に伴う関節軟骨の形態変化と軟骨細胞成分およびプロテオグリカン産生の減少を明らかにした。さらに、老齢マウスではシリア発現率が減少すること、ならびにラパマイシン標的タンパク質(mTOR)シグナリングの標的であるS6リボソームタンパク質のリン酸化が抑制されることが明らかとなった。 これらの結果から、本年度は加齢に伴うシリア発現率の減少はmTORシグナルの減少に起因するとの仮説のもと、mTORシグナリングの阻害剤であるRapamycinがシリア発現率と軟骨組織のプロテオグリカン産生へ及ぼす影響を解析した。 マウス前駆軟骨細胞株ATDC5にRapamycinを投与すると、対照群と比較し顕著にシリア発現率の減少が認められた。さらに、野生型マウスに生後4週齢よりRapamycinを腹腔投与したところ、顎関節軟骨細胞においてシリアの発現が有意に減少しただけでなく、投与後11週後にはプロテオグリカンの産生減少が観察された。 以上より、軟骨組織の加齢変化にはmTORにより発現がコントロールされるシリアの存在が関連していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ての実験を終了し、論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は論文投稿準備中であり、本年度の初旬に投稿予定である。今年度は査読後に要求があった追加実験を行う可能性がある。
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Causes of Carryover |
現在論文投稿準備中であり、次年度は投稿料、英文校正料、査読後の追加実験に係る費用が必要となるため。
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