2022 Fiscal Year Research-status Report
人工知能を用いたインプラント周囲炎の発症予想システムの確立
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21K17040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 優一 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70883263)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インプラント / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,インプラント周囲炎の発症を高精度で予測するシステムを確立することを目的とする. 2022年度は,感染対策に十分配慮したうえで,180名(男性56名,女性124名,平均年齢68.5歳),548本のインプラント体について追跡調査を行い,10年以上経過症例のデータベースを構築した. データベースより,機能後1年をベースラインとした10年以上経過時までの複数時点におけるインプラント周囲骨吸収量の年平均値を算出した.インプラント治療の成功基準とされている<0.2mmと,それ以上の骨吸収を呈する≧0.2mm (以下,異常骨吸収)の群に分類し,一般化線形混合モデルにおける多変量解析の目的変数とした.固定効果は,年齢,性別,ベースライン時における喫煙歴,糖尿病,骨粗鬆症および歯周病の既往の有無,プラークコントロールレコード(以下,PCR),Eichner分類,埋入部位,固定様式,角化粘膜幅,観察期間とした.年間骨吸収量の平均値は,0.07mmであり,61本 (11.1%)が異常骨吸収を呈した.多変量解析の結果,異常骨吸収は,年齢 (オッズ比:1.05),糖尿病 (オッズ比:2.00),セメント固定 (オッズ比:3.71),PCR>20% (オッズ比:3.23),上顎への埋入 (オッズ比:2.32),角化粘膜幅<2mm (オッズ比:1.69),観察期間 (オッズ比:1.01)と有意な関連が認められた. 本研究においてインプラント体の周囲骨吸収は,過去に関連が報告されている糖尿病,口腔清掃状態や角化粘膜幅などの炎症誘発性因子に加え,固定様式,上顎骨への埋入といった構造や解剖学的因子との関連が示された.長期経過したインプラント体を対象とした周囲骨吸収のリスク因子を検討した研究は少なく,臨床的意義は大きいと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19の影響で,2022年度に予定していた調査が十分に行えず,目標症例数に到達しなかった.また,協力施設への訪問も十分にできず,2022年度最初に行う予定であったデータ整理・分析が,年度終わりに行うこととなったため.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は2022年度にできなかった追跡調査を感染対策に十分配慮した上で行い,データの収集,整理や分析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
COVID19の影響により,2022年度の調査に遅延が生じたため,次年度使用額が生じた.2023年度は感染対策に十分配慮した上で調査とデータの分析を行う予定である.
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Research Products
(1 results)