2021 Fiscal Year Research-status Report
骨髄間葉系幹細胞をターゲットとした骨質改善治療法の開発
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21K17042
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
國友 由理 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (30837381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨髄間葉系幹細胞 / トリプトファン / アミノ酸 / インプラント治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔インプラント治療における骨質改善を目的に多くの研究が行われているが,未だ最良な見解は得られていない.申請者らは,トリプトファンが,キヌレニン代謝経路を介して骨髄間葉系幹細胞の幹細胞性維持・促進に関与し,骨の創傷治癒を促進することを世界で初めて明らかにした.しかし,このトリプトファンがどのようなメカニズムで骨髄間葉系幹細胞の幹細胞性維持・促進に関わっているのか,未だ不明である.本研究では, トリプトファンの幹細胞性維持メカニズムを明らかにするとともに,骨髄由来間葉系幹細胞の老化制御メカニズムの解明に繋げる. 2021年度は,トリプトファンのin vivoにおける適正濃度を検討した.具体的には,トリプトファンを低用量,中用量,高用量にてマウスの腹腔内に21日間毎日投与した.トリプトファン投与7日目の大腿骨皮質骨に直径1mmの骨欠損を作製し,14日後に組織を回収し,micro-CTを用いて皮質骨の治癒率を解析した.その結果,中用量においてのみ,対照群と比較し有意に骨欠損が治癒していることが明らかとなった.つまり,トリプトファンには適切な濃度が存在することが明らかとなった. また,若齢マウスおよび老齢マウスから骨髄細胞を採取し,間葉系幹細胞をセルソーターにて単離,RNA-Seq による遺伝子発現の網羅的解析を行った. 現在, 間葉系幹細胞の老化に関わる遺伝子およびその制御機構を明らかにするため,Gene Ontology解析およびPathway解析を実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幹細胞間葉系幹細胞をソーティングし,RNA-seq解析を行い,間葉系幹細胞の老化に関わる遺伝子解析は順調に進んでいること,in vivoにおいて,トリプトファンには適正濃度があることが明らかとなっており,概ね順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
幹細胞性の維持や促進に関わるシグナル経路を選定する.それにより候補となるシグナル経路の阻害剤および活性剤を加えた培地を作成する.老齢マウスからCAR細胞をセルソーターにて単離し,準備した培地にて培養をおこない,CAR細胞の幹細胞性をコロニー形成能,細胞遊走能,多分化能 .免疫調節能,幹細胞表面抗原マーカーを指標にて評価し,幹細胞性維持・促進に関わるシグナル経路を同定する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で学会が開催されず,旅費として予定していた金額を使用しなかったため.またウクライナ情勢のためヨーロッパから必要な抗体等の購入ができなかった.次年度はそれらの抗体購入費に経費を充当する予定である.
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